血液細胞の観察法

 

塗沫標本の観察法

弱拡大での観察(x20対物レンズ)

染色の状態(全体の色調)

造血細胞(全体、一部)の形成度(過形成、低形成)

 

異常細胞の増殖(急性白血病、多発性骨髄腫、その他浸潤)

 

強拡大での観察(x100対物レンズ;油浸)

細胞の形態

細胞系統と成熟度

異形成

好中球

赤芽球

巨核球

*特殊染色

ペルオキシダーゼ染色

非特異的エステラーゼ染色

鉄染色

 

 

血液細胞の基本構造

細胞全体大きさ、形態、核胞体比

細胞質色調、顆粒、その他(細胞内封入体、空胞)

核クロマチン、核小体

クロマチン網工網状、顆粒状

配列緻密、粗荒

太さ繊細、太い

 

 

血液細胞の種類

白血球骨髄芽球 →前骨髄球→骨髄球→後骨髄球→桿状核球→分節核球

単芽球       →前単球 →単球

リンパ芽球     →Tリンパ球

          →Bリンパ球 →形質細胞

赤血球前赤芽球 →好塩基性赤芽球→多染性赤芽球→正染性赤芽球→赤血球

巨核球・血小板

巨核芽球 →巨核球 → 血小板

 

 

好中球

大きさは12〜16μm

細胞質淡橙色から淡橙褐色、顆粒は橙褐色で細かく、びまん性、無数

核細長く棒状(桿状)ないし2〜数個の小塊(分葉)にわかれてみえる

クロマチン網工は粗大粗荒な網目構造、太いクロマチン結節を散見

 

桿状核球と分節核球の差異

桿状核球核分節が帯(バンド)によって連結されたもの

分節核球核分節がクロマチン糸によって連結されたもの

 

好酸球

大きさは13〜18μm

細胞質淡橙色を呈するが、顆粒に埋もれてみえない

顆粒は鮮橙紅色で丸く、好中球顆粒に比べて大きい

核好中球に比して太く丸みを帯びる

クロマチン網工は粗大粗荒な網目構造を呈する

好塩基球

大きさは12〜16μm

細胞質淡褐色、ペルオキシダーゼ陰性

顆粒は紫褐色で、顆粒球の中で最も大きい

塩基性色素に染まるが紫褐色(メタクロマジー)

核核は輪郭不鮮明でクロマチン網工も鮮明に見えない

好中性後骨髄球

大きさは12〜18μm、輪郭は円形、境界は鮮鋭

細胞質淡橙黄色、橙褐色の細かい好中性顆粒

核核はそら豆様、腎臓様、腸詰様

クロマチン網工は粗大粗荒、数個のクロマチン結節を証明する

 

*後骨髄球と桿状核球の鑑別

核の太さ(短径/長径)

後骨髄球では1/3以上

桿状核球では1/3以下

好中性骨髄球

大きさは16〜23μm、輪郭は円形、境界は鮮鋭

細胞質淡橙黄色、橙褐色の細かい好中性顆粒

核核は円形で、細胞のほぼ中央に位する

クロマチン網工は粗大粗荒、数個のクロマチン結節をみる

核小体はない

 

前骨髄球

大きさは20〜25μm、輪郭は円形

細胞質青色、顆粒は暗紫紅色の粗大なアズール顆粒を認める

核繊細微密な網工を示す

往々に2〜3個の淡青色の核小体を認める

 

骨髄芽球

大きさは10〜20μm、輪郭は円形

細胞質青色、核周明庭は鮮明でない、顆粒は存在しない

まれに封入体としてアウエル小体

核核は円形で大きい

クロマチン網工は繊細微密な編目状を呈する

赤紫色の核の表面に無数のあぶくが浮かんだようにみえる

往々に2〜3個の淡青色の核小体を認める

 

好中球の未熟細胞の鑑別

 

 

単球

大きさは13〜21μm、輪郭は類円形ないし不整形

細胞質好塩基性、淡青色〜淡青灰色

顆粒は紫赤色、微細

核の周囲に局在して認められることが多い

核円形、腎形、馬蹄形ないし不規則な分葉傾向

 

単芽球

大きさは16〜22μm、輪郭は円形、境界は鮮鋭

細胞質好塩基性で青染する、顆粒はみられない

ペルオキシダーゼ反応は通常陰性

核クロマチン網工は繊細緻密

2〜6個の核小体がみられる

 

リンパ球

大きさは、顆粒球や単球ほどには一定してない、輪郭は円形ないし類円形

赤血球の大きさに近いものを小リンパ球

単球の大きさに近いものを大リンパ球

細胞質澄んだ青色(秋の晴れた空の色)、青色、淡青色など色々である

粗大な赤い球状のアズール顆粒がみられることがある

核円形ないし腎形

核のクロマチン網工は粗大、粗荒で網目構造はほとんどみられない

クロマチンは粗大な集塊を形成しやすい

 

*大リンパ球と単球の識別

細胞質単球で灰色から帯紫青色

リンパ球では空色ないし淡青色

顆粒単球では微細、鮮紅色ないし紫赤色

リンパ球では粗大球状で大小まちまちである

核のクロマチン網工

単球では比較的細かい網工を示し模糊とした感じ

リンパ球では網工は荒く、粗大で太いクロマチン結節

 

リンパ芽球

大きさは12〜14μm、輪郭は円形、境界は鮮鋭

細胞質好塩気性で青染する、顆粒はみられない

ペルオキシダーゼ陰性

核骨髄芽球と比べてクロマチンが豊富にみえる

骨髄芽球の核ほど明るい感じがない

 

*異型リンパ球

以下の3種類のリンパ球が血液中に目立つ場合

核が単球様に分葉傾向を示す

原形質が形質細胞様に強く青染してみられる

原形質が強く青染し、核クロマチンパターンが繊細微密で核小体もみられる

 

形質細胞

大きさは9〜20μm、輪郭は円形ないし紡錘形

細胞質強い好塩基性で、濃紫青色、核の周囲が明るくみえる(核周明庭)

核核は原形質の一端(細胞の長軸の一端)に偏在

粗大なクロマチン塊が虎斑状に分散してみられる

赤芽球

輪郭は円形〜類円形、核と細胞質が同心円上に存在する、顆粒はみられない

成熟 前赤芽球→好塩基性赤芽球→染性赤芽球→染性赤芽球

 

前赤芽球

大きさは20〜25μm

細胞質濃青色

核クロマチン網工は繊細顆粒状、核小体は青紫色を呈する

 

好塩基性赤芽球

大きさは16〜18μm

細胞質青色ないし濃青色を呈する、核周明庭がみられる

核クロマチン網工:細顆粒状から粗大顆粒状まで

 

染性赤芽球     

大きさは9〜12μm

細胞質赤紫色から、紫色、さらには青紫色

核クロマチン網工は粗大顆粒状

 

染性赤芽球

”赤血球に核の加わった細胞”、大きさは8〜9μm

細胞質橙紅色ないし帯紫紅色

核核は粗大

車軸状のクロマチン網工〜紫褐色にぬりつぶされた濃染核

 

*赤芽球と類似の形態を示す細胞との区別法

リンパ球核のクロマチン網工はびまん性に紫褐色に染着

濃染した部分が塊状に散布してみられる

形質細胞形質細胞は核が扁在している   

形も円形、卵形、紡錘形など色々である

原形質に空泡をみることが少なくない

 

巨赤芽球

大きさは15〜25μm、特に大きいものでは40μm、原形質が核に比して広い

核クロマチン網工は正赤芽球の核に比べて明るい

細かい網目構造が多染性赤芽球、正染性赤芽球にも残存している

 

 

*赤血球の形態異常

大きさの異常

赤血球大小不同症

染まり方の異常

球状赤血球(遺伝性球状赤血球)

標的赤血球(サラセミア、肝疾患、摘脾後)

鎌状赤血球(遺伝性鎌状赤血球症)

形の変化

涙摘赤血球(骨髄線維症)

破砕赤血球(赤血球破砕症候群)

 

 

血液実習

 

 

 

 

以下の細胞のスケッチをして下さい。

 

白血球(好中性)分節核球

(好中性)桿状核球

(好中性)後骨髄球

(好中性)骨髄球

(好中性)前骨髄球

 骨髄芽球

 

 好酸球

 好塩基球

 

 単球

 

 リンパ球 (大リンパ球、小リンパ球)

 

赤血球 赤血球

 正染性赤芽球

 多染性赤芽球

 好塩基性赤芽球

 前赤芽球

 

巨核球

 

 

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注意

 

顕微鏡は大切に使うこと!!

標本の裏表を間違わないようにすること。

 

後片付け

油浸用100倍の対物レンズは使用後にキシレンでよく拭いてオイルを完全にとること、また20倍対物レンズにオイルが付いてしまっていないかを確認すること。

標本はキシレンのはいった染色用瓶に漬け10回程度よく振ってオイルをできるだけ除いた後に、キムワイプで軽く表面を拭き、オイルを完全にとり乾燥させて返却すること

 

血液細胞の写生法

 

骨髄球の写生法

核部を淡赤紫色に塗りつぶし、赤紫色で太く大きな輪を描く

原形質を淡橙色に塗りつぶす

色調の濃淡を変えて色を核部に重ねてゆく

結節状になったクロマチンのところを塗りつぶす

顆粒を加える

 

 

 

骨髄芽球の写生法

核部を淡赤紫色に塗りつぶし、赤紫色で小さな輪を描きながら全面を埋める

原形質を青色に塗りつぶす

クロマチン網工の濃淡に応じ輪の上を青紫色でなぞる

結節状になったクロマチンに相当する輪を塗りつぶす

 

 

 

単球の写生法

核部を淡赤紫色に、原形質を淡青灰色に塗りつぶす

核に赤紫色の点を不規則に並べる

クロマチン網工の濃淡に応じ色を核部に重ねてゆく

全体にぼかして模糊とした感を与える

細かい紫色の顆粒を加える

 

 

 

 

リンパ球の写生法

核部を淡赤紫色で、原形質を淡青色に塗りつぶす

赤紫色にてかくないに3〜5個の塊を描く

塊の間をぼかすか細かい網目状にする

原形質を空色で核の周囲を淡く残すようにして仕上げをする

顆粒があれば加える

 

 

 

赤芽球の写生法

核部を淡赤紫色ので塗りつぶし

核の境界線を赤紫色でふちどる

クロマチン網工の緻密さに応じ細〜太い点をまんべんなく描く

色をだんだん濃くして点を繰り返して描く

 

 

 

 

 

参考文献;図説血球のみかた 小宮正文著 南山堂