JCOG0005
VAD療法→CPA大量療法と末梢血幹細胞採取→自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法
登録手順
担当医は対象患者が適格条件をすべて満たし除外条件のいずれにも該当しないことを確認し、講師室にある登録適格性確認表に必要事項をすべて記入の上、講師室・森に渡す。
LSG登録センターで適格性が確認された後に、症例番号が発行される。治療はこの手続きをすませてから開始する。
症例登録はFAX登録のみとし、登録確認通知の送付を持って登録とする。一度登録された症例については、いかなる理由があっても登録取り消し(データベースから末梢)はなされない。重複登録の場合は、いかなる場合も初回登録情報(症例番号)を採用する。誤登録・重複登録の場合はデータベース上、特殊な処理が必要であるため、判明した際には速やかにLSG登録センターに連絡すること。
寛解導入療法(VAD療法)登録の適格条件
- SWOGの診断基準を満たす多発性骨髄腫症例
- Durie-Salmon clinical stage : II, III
ただし、Indolent myeloma, smoldering myelomaは除く
- PS: 0-3,
ただし、骨髄腫による骨痛が原因の場合、PS4も可とする
- 15歳以上、64歳以下
- 他の癌腫に対する治療も含めて化学療法の既往がない
- 十分な肝、腎、心、肺機能を有する症例
GOT, GPT≦施設基準値上限の5.0倍
総ビリルビン≦mg/dl
血清クレアチニン≦mg/dl
PaO2≧60 TorrもしくはSaO2≧90%
(酸素吸入無しの条件下で)
心電図:虚血性変化無し
- 患者本人から開示文書による同意が得られた症例
VAD療法登録の除外条件
- コントロール不良の糖尿病患者
- コントロール不良の高血圧患者
- 心筋梗塞の既往もしくは不安定狭心症を有する患者
- 重篤な不整脈(NCI-CTC grade 3以上)、心アミロイド-シスを有する症例
他の臓器でアミロイド沈着が確認され、重篤な不整脈・心肥大を認める症例
心筋生検は行わない
- 既往歴に腎機能を来す腎疾患(慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎症など)を有する患者
- HBs抗原陽性、HCV抗体陽性、HIV抗体陽性の患者(HIV抗体は保険適応外のため、未検でも登録可とする)
- 間質性肺炎、肺繊維症を有する患者
- 活動性の重複癌(同時性重複癌および無病期間が5年以内の異時性重複癌。ただし局所治療により治癒と判断された子宮頸部、胃、大腸におけるCarcinoma
in Sutu相当の病変は活動性の重複癌に認めない)。
- 妊娠中、現在妊娠が疑われる、また授乳中の女性
- 精神分裂病などの重症の精神病、精神障害のある患者
- その他、担当医師が本試験の対象に不適当と判断した症例
寛解導入療法(VAD療法)
治療は症例登録をすませ、登録番号を得てから開始する。
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VCR
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0.4
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mg/body/回
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ci 24 h
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1回/日
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day 1-4
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オンコビン注(1)
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ADM
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10
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mg/sqm/回
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ci 24 h
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1回/日
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day 1-4
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アドリアシン注(10)
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DEX
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20
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mg/body/回
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di 2 h
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2回/日
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day 1-4
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デカドロン注(8)
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以上21日を1コースとして増悪(PD)でない限り最低2コース、最高4コース施行する。
- 増悪(PD)例以外の症例では少なくとも2コース施行する。VAD2コース終了後、
@さらにM蛋白が減少すると考えられる症例
A無菌室の都合などでPBSCTの予定がずれることが予想される症例などの場合VAD
は2コースまで追加可能とする。
- VCR、ADRは生理食塩水に溶解混注し、末梢静脈あるいは中心静脈カテーテルから持続点滴する。末梢静脈を使用する場合、持続点滴による静脈炎をきたしやすいため、なるべく太い静脈を選んでカテーテルを挿入する。
- DEXは生理食塩水に溶解し、別の点滴経路より2分割投与する。
- 第1コースは入院とし、2コース目以降に関しては骨髄抑制やその他の有害事象の状態を見ながら可能な限り外来治療とするが、持続点滴期間は入院とする。
- 4コース終了後、PDの症例は治療中止とする。
コース開始基準
2コース以降、以下の条件をすべて満たした場合に治療を開始する。
満たさない場合は満たすまでコース開始を延期し、コース開始予定日から4週間経過しても満たさない場合、プロトコール治療中止とする。
- 前コース開始日よりも3週間経過
- PDでない
- コース開始の前日または当日の検査値が以下のすべてを満たす。
好中球≧1000/μl
血小板≧5.0x104/μl
GOT、GPTともに基準値上限の5.0倍以下、
総ビリルビン≦2.0mg/dl
血清クレアチニン≦5.0mg/dl
- その他担当医がコース開始が不適当と判断される毒性や症状を有さない。
寛解導入治療中止・終了基準
- 治療開始後、原病の悪化もしくは再発が認められた場合
- 寛解導入治療4コース終了時点でPDと判断された場合
- 毒性(有害事象)によりプロトコール治療が継続できない場合
- Grade 4
以上の非血液毒性が支持療法にても改善されず、7日以上継続した場合
- Grade 4以上の血液毒性が支持療法(7.3.参照)
- コントロール不良の糖尿病、活動性の消化性潰瘍が発症した場合
- 治療変更基準以外で、毒性により、担当医が中止と必要と判断した場合
- 毒性(有害事象)を理由として、患者がプロトコール治療の中止を申し出た場合
- 毒性(有害事象)以外の理由で患者がプロトコール治療の中止を申し出た場合
- プロトコール治療中の死亡
- 他の理由によりプロトコール治療中止とする以前の死亡
プロトコール治療との関連を問わず、すべての死亡が含まれる
- その他、プロトコール治療違反が判明、登録後の病理結果などにより不適格性が判明した場合など
治療後
憎悪や再発後の治療は規定しない。
治療変更基準
寛解導入療法における投与量変更レベル
| 薬剤 容量変更レベル
用量
|
Vincristine
全量 0.4mg/body day1-4 24時間持続点滴
レベル-1(75%)
0.3mg/body 〃
レベル-2(50%)
0.2mg/body 〃 |
Adrimycin 全量 10mg/m2 day1-4
24時間持続点滴
レベル-1(75%) 7.5mg/m2 〃
レベル-2(50%) 5.0mg/m2 〃 |
Dexamethasone 全量
40mg/body day1-4
点滴
レベル-1(75%) 30mg/body 〃
レベル-2(50%) 20mg/body 〃 |
血液毒性による変更
- 2コース以外のVAD療法は末梢血にて
・好中球≧1,000μl
・血小板≧5.0x104/μl
まで回復するまで開始しない。
- 治療開始後6週目で(1)のレベルに達していない場合は骨髄穿刺もしくは生検を実施してその原因を検索する。
・血球減少が骨髄腫浸潤によるものと判断された場合、その時点で次コースを開始する。
・血球減少が薬剤による骨髄抑制と判断された場合、8週目まで治療延期し、その時点で(1)の基準を満たさない場合はプロトコール治療中止とする。
肝障害(高ビリルビン血症)による変更
高ビリルビン血症(1.5mg/dl以上)が見られた場合、下記に従って次コースよりAdriamycinを減量もしくは中止する。
| T-bil (mg/dl)最高値 |
Adriamycin |
| 1.5-3.0
>3.0
|
レベル-2(50%)
投与しない |
ビリルビン 1.6-3.0mg/dlの症例では1コース目からレベル-2で投与する
ビリルビンが治療後1.5未満となった場合はADRは再増量する。
神経毒性による変更
- grade 3
の知覚異常(神経障害・感覚性)もしくは便秘が見られた場合、Vincristineをレベル-1(75%)に減量する。減量後、知覚異常がgrade
2 以下、便秘がgrade 2以下となったときは元の量に戻す。
- 減量後もgrade
3の知覚異常、便秘が引き続き見られた場合は次コースはレベル-2(50%)に減量する。
- レベル-2(50%)に減量後もgrade
3の知覚異常、便秘が見られた場合は、以後Vincristineは投与しない。
口内炎/咽頭炎による変更
grade
3以上の口内炎/咽頭円が見られた場合は、次コースよりAdriamycinのレベルを1つ上げる。grade
2以下に改善した場合、Adriamycinは元の量にもどす。レベル-2に減量後もgrade
3以上の毒性が認められた場合は、以後Adriamycinは投与しない。
心毒性による変更
grade
3以上の不整脈・心虚血・心外膜炎が出現した場合はプロトコール治療は中止する。ただし、左心機能に関してはgrade
2で中止とする。左心駆出率が50%以下に低下した場合はプロトコール中止とする。
DEXA投与量の変更
重篤な消化管出血、コントロール困難の糖尿病が見られた場合、DEXAは中止するが、VCR,
ADRは継続する。
利尿剤に抵抗性の体液貯留、易刺激が見られた場合、次コースよりDEXAのレベルを一つ下げる。
次コースにおいても毒性が持続する場合はさらにレベル-2に減量するが、MMの治療における副腎皮質ステロイドの重要性に鑑み、十分な補助療法を実施しながらできるだけ全量投与する方針とする。
CPA大量療法と末梢血幹細胞採取
適格条件
- 導入化学療法後、PDとなっていない症例
- PS 0-2
- 十分な骨髄、肝、腎、心、肺機能を有する症例
好中球≧1000/μl
血小板≧5.0x104/μl
GOT、GPT≦施設基準値上限の2.5倍
総ビリルビン≦2.0mg/dl
血清クレアチニン≦3.0mg/dl
PaO2≧60 Torr もしくはSaO2≧90%(酸素吸入無しの条件下で)
心電図:虚血性変化無し
心機能:EF≧50%
- CPA大量療法および末梢血幹細胞採取について患者本人から開示文書による同意が得られた症例
CPA大量療法
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CPA
|
2
|
g/sqm
|
di 2h
|
x 1
|
day 1-2
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エンドキサン(500/100)
|
|
MESNA
|
400
|
mg/sqm
|
iv
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x 4
|
day 1-2
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ウロミテキサン(100/500)
|
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G-CSF
|
10
or
400
|
μg/kg
μg/sqm
|
sc
|
x 1
|
day 4-
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ノイトロジン(100/250)
or
グラン(75/300)
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Cyclophosphamide
(CPA) 2.0g/m2
x 2 days(2時間点滴)
G-CSF (Filgrastim)
400μg/m2
皮下注
あるいはLenograstim
10μg/kg
皮下注
- CPA大量療法は最終のVAD療法終了後5週以内に開始し、1回のみ実施とする。
- CPAは5%Glouse
もしくは生理食塩水500mlに溶解し、4時間で点滴注する。
- CPA投与時には尿量を保つように飲水を指導し、終了後にはハルトマンpH8を2000ml投与する。
- Mesnaは0h(点滴開始時),
2h(点滴終了時), 4h, 8h後に投与する。
- G-CSFはCPA終了後2日目から開始し、PBSC採取終了まで継続する。
Peripheral blood stem cell harvest (PBSCH)
- PBSCHは連続血球成分分離装置を使用して各施設の方法で施行する。
- PBSCHのtimingは原則的にはnadir後に白血球数が3,000-10,000/μlを超えた日、またはその翌日からを目安とする。
- 採取したPBSCの一部でCD34陽性細胞の測定を行う。
- PBSCHは処理血液量200ml/kgを目安とし、採取されたCD34陽性細胞数の合計が2x106/kg
以上となるまで施行する(ただし4x106/kg
以上が望ましい)
- 採取したPBSCは各施設の方法で処理し、凍結保存する。
- 採取したPBSCの In vitro purging は行わない。
自己末梢血幹細胞移植併用大量L-PAM療法
適格条件
- 導入化学療法、CPA大量化学療法PDとなっている症例
- PS 0-1
- 十分な骨髄、肝、腎、心、肺機能を有する症例
好中球≧1000/μl
血小板≧5.0x104/μl
GOT、GPT≦施設基準値上限の2.5倍
総ビリルビン≦2.0mg/dl
血清クレアチニン≦3.0mg/dl
PaO2≧60 Torr もしくはSaO2≧90%(酸素吸入無しの条件下で)
心電図:虚血性変化無し
心機能:EF≧50%
- 十分量のPBSCが採取・凍結保存されている症例
(CD34+細胞数>2x106/kg
、ただし>4x106/kg が望ましい)
- 自己末梢血幹細胞移植併用大量化学療法について患者本人から開示文書による同意が得られた症例
APBSCT併用大量L-PAM化学療法
|
L-PAM
|
100
|
mg/sqm
|
di 30min
|
1回/日
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day 1-2
|
アルケラン(50)
|
|
(PBSCT)
|
|
|
di 30min or iv
|
|
day 4
|
|
|
G-CSF
|
5
or
300
|
μg/kg
μg/sqm
|
ci 24h
|
1回/日
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day 5-
|
ノイトロジン(100/250)
or
グラン(75/300)
|
- 大量化学療法はPBSC採取終了後4-6週以内に開始する。
- L-PAMは生理食塩水100mlに溶解後、速やかに(1時間以内)点滴注射する。
- day0にAPBSCTを行う。前処置としてhydrocortisone 100mgを静注する。
- day+1からG-CSF(Filgrastim: 300μl/m2,
Lenograstim: 5μg/kg )の点滴静注を行う。
好中球>1,000μlが3日間連続した時点で使用を中止する。