慢性関節リウマチ

概念

滑膜炎による関節の炎症・破壊を主とする慢性炎症性疾患
末梢性・対称性・多発性関節炎を特徴とする慢性関節炎
全身症状、皮膚、呼吸器、神経などの関節外症状を伴う
生命予後は良好だが、社会的予後は不良の疾患

 

RAの診断基準(ARA 1987年改訂)

診断項目

1時間以上の朝のこわばり*
3関節領域以上の腫脹*
手首、中手指節(MCP)、近位指節(PIP)関節の腫脹*
対称性腫脹
手、指のX線写真像の変化
皮下結節
リウマトイド因子

(4項目以上)*6週間以上持続

病期分類

I

骨破壊像がない。

II

軽度の軟骨下骨の破壊像を伴うあるいは伴わない。
オステオポローゼがある。
関節運動は制限されてもいいが、関節変形はない。

III

X線写真状軟骨及び骨の破壊がある。
亜脱臼、尺側変位、過伸展などの関節変形がある。

IV

線維性あるいは骨性強直がある

機能障害度分類

Class 1

通常の活動能力になんら制限がない。

Class 2

軽度の制限があるが、通常の活動に支障がない

Class 3

かなり制限があり、職業や身の回りのことができない

Class 4

車椅子またはベッド臥床状態

関節外症状

皮膚・皮下

リウマチ結節、リンパ節腫脹

強膜および前部ぶどう膜炎

肺病変

間質性病変、胸膜炎、結節病変、肺血管炎

心膜炎、心筋・冠動脈病変

神経

末梢性ニューロパチ−

膜性増殖性腎炎、アミロイドーシス

検査所見

リウマトイド因子

変性自己IgGのFc部分の抗原決定基と特異的に反応する抗体
 IgM-RF
 IgG-RF(血管炎)

血液・血清生化学

貧血(低色素性貧血、高色素性貧血)
炎症反応(CRP, ESR)

骨・関節X線

軟部組織の腫脹、関節裂隙の狭小化、骨粗鬆症、骨びらん、
関節の強直・亜脱臼(環軸関節X線側面像で、頭部前屈時に環椎が歯突起より2.5mm以上前方に離れていると前方亜脱臼)

骨シンチ

罹患関節部への99mTcリン酸の集積

胸部X線

胸膜炎・胸水
両下肺野を中心とする線状網状影
肺野に結節陰影多発(カプラン症候群)

関節液

性状黄色微濁、ムチン塊が脆弱、粘稠度の低下
白血球増加(≧ 5,000/μL),補体価の低下,細菌・結核菌の培養陰性

 

治 療

抗炎症薬
 即効性鎮痛・抗炎症を目的とする。
 関節破壊の進行を抑制できない。

非ステロイド系抗炎症薬:NSAIDs

副腎皮質ステロイド

プレドニゾロン:全身投与)
(ケナコルト:局所投与)

抗リウマチ薬:DMARDs
 免疫異常を是正し、関節破壊を抑制することを目的とする。
 遅効性、効果の減弱、重篤な副作用がある。

免疫調節剤

サラゾスルファピリジン(アザルフィジンEN)
金チオマレート Na(シオゾール)
ブシラミン(リマチル)
Dペニシラミン(メタルカプターゼ)
オーラノフィン(リドーラ)
アクタリット(モーバー)

免疫抑制剤

メトトレキセート(リウマトレックス)
シクロホスファミド(エンドキサン)*
シクロスポリン(ネオーラル)*

早期RAの診断

診断項目

3関節以上の圧痛または他動運動痛
2関節以上の腫脹
朝のこわばり
リウマチ結節
赤沈の高値(>20mm/h)またはCRP陽性
リウマチ因子陽性

3項目以上

ACR(アメリカリウマチ学会)コアセット

 

シェーグレン症候群

概 念

 

 

成人Still病

概 念

診 断

診断基準 (Cushら、1987) 

成人Still病の診断には以下のすべてが必要である。

発熱≧39℃

最も高頻度の初期症状で、経過を通して全症例の97%*にみられる。通常夜に1日1回のスパイク状の発熱が起こるが、解熱剤の投与を受けていない患者の80%で体温は正常に快復する。

関節痛あるいは関節炎

関節炎はほぼ全症例に全般的に渡りみられるが、重度の筋肉痛と比較して軽度である。少数の関節だけに発症することが多い。高頻度の罹患関節は膝(84%)と手関節(74%)である。足、肩、肘は半数、近位趾節関節が1/3、遠位趾節関節が1/5である。多関節炎あるいは根関節炎は慢性経過をたどりやすい。

リウマトイド因子<1:80

抗核抗体<1:100

さらに、以下の2つが必要とされる。

白血球数≧15,000/μl

10,000/μl以上の白血球増加は症例の90%にみられ、80%において15,000/μl以上になる。なお、貧血 (Hb<10g/dl)は68%に、血小板増多(>400,000/μl)が62%にみられる。

Still疹

85%以上の患者にみられ極めて特徴的である。発疹はサーモンピンクの斑状あるいは斑状丘疹性で、一過性のことが多く夕方から夜間にかけてのスパイク状発熱とともに出現することが多い。体幹および四肢近位部にみられるが、患者の15%では顔面にもみられる。発疹が軽度で掻痒があるかもしれない。

胸膜炎あるいは心膜炎

好中球優位の炎症性漿液がみられる。

肝腫、脾腫あるいは全身性リンパ節腫脹

全身性リンパ節腫脹は63%に、脾腫は52%に、肝腫大は42%にみられる。また肝機能検査で肝酵素の上昇を患者の73%にみる。

  *Pouchotら、J Rheumatol, 1987.

治 療