研究紹介

内分泌代謝内科

基礎的研究

1.テーマ   高血圧症、動脈硬化症の成因としての血管ステロイド代謝

血管でのステロイド代謝が動脈硬化症の発症メカニズムとして注目されている。我々はヒト血管細胞がグルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、性ステロイドを産生することを発見した。さらに、これらのステロイドがアンジオテンシンUなどの血管作動性物質と共役して高血圧症、動脈硬化症の発症・進展に深く関わっていることも報告してきた。今後はその血管ステロイドの調節機構についてもさらなる検討を行う予定である。

2.テーマ   リポ蛋白代謝・脂肪酸代謝の病態解明

家族性高コレステロール血症は世界で最も多い遺伝子病の1つであり、LDL受容体遺伝子異常により発症する。LDL受容体経路はテキサス大学のGoldstein・Brown博士のもとでその全容が解明され、ノーベル医学生理学賞が授与されている。Goldstein・Brown研究所にてLDL受容体遺伝子クローニングに成功した山本徳男博士は東北大学に戻り、VLDL受容体・アポE受容体2・LRP3・LRP4・LRP5の新しいLDL受容体ファミリーをクローニングしてきている。我々は、山本博士とともに発見したVLDL受容体の病態生理の解明を中心に、LDL受容体ファミリー機能の全容解明を目標に研究を継続している。VLDL受容体に関して1992年のVLDL受容体発見論文から13論文を我々が報告しており、その総被引用回数は2003年7月の時点で計762回である。

3.テーマ   ホルモン感受性リパーゼの機能に関する研究

細胞内脂肪蓄積は様々な機能障害をもたらす。糖尿病患者における心筋内の脂肪蓄積と心機能障害との関連性は以前から重要視されてきたが、詳細なメカニズムは解明されていない。近年、糖尿病動物モデルZuckerラットの解析から、心筋内脂質蓄積が心筋アポトーシスを誘導し、糖尿病性心筋症を発症することが証明された。細胞質内の脂肪分解反応を制御するホルモン感受性リパーゼ(HSL)は脂肪細胞から発見された中性リパーゼであるが、脂肪組織以外にも心筋、膵島細胞など多数の臓器に発現している。しかしながら非脂肪細胞HSLの生理的、病理的機能は明らかにされていない。私達は発生工学的手法を用いてHSLや脂肪滴関連蛋白の心臓特異的過剰発現/過少発現マウスを作成し、lipo-toxicity(脂肪毒性)による心筋障害モデルを提示したいと考えている。本研究にてHSLの機能異常と脂肪毒性心筋障害との関連性をin vivoにて証明し、その治療法の確立に貢献することが目標である。

臨床的研究

1.テーマ   高血圧症の遺伝子診断

近年の分子生物学的手法の進歩により高血圧症、特に内分泌性高血圧症の診断に占める遺伝子解析の重要性はますます高まっている。当科においても各種副腎皮質ステロイド合成酵素欠損症、デキサメサゾン抑制性高アルドステロン症、apparent mineralocorticoid excess 症候群、Liddle 症候群、多発性内分泌腺腫症などの遺伝子診断を行っている。本態性高血圧症におけるこれらの遺伝子の関与についても検討中である。

2.テーマ   動脈硬化性危険因子の研究

近年、高ホモシステイン血症が冠危険因子として注目されている。当研究室では、糖尿病患者においても高ホモシステイン血症が重要な冠危険因子であることを明らかにした。さらに臨床検査部と共同でPAI-I遺伝子、ACE遺伝子多型も含めた検討も行っている。

3.テーマ   内皮細胞機能検査法による動脈硬化症の早期評価

近年、内膜肥厚など明らかな動脈硬化性病変が認められない時期より内皮依存性の血管拡張能が低下していることが示されている。動脈硬化症の早期診断法としての内皮依存性血管拡張能検査に注目し現在検討を加えている。

4.テーマ   インスリン療法の工夫

糖尿病患者の厳格なコントロールが合併症の防止に重要であることが疫学的にも明らかにされている。われわれは1日2回注射法でも十分なコントロールが得られない症例の多くが、単一の混合インスリン製剤の3回注射法にて改善することを明らかにし、比較的簡敏でかつ安全性の高い強化インスリン療法となりうるものと考えている。


   

呼吸器内科

基礎的研究

1.テーマ   重症肺高血圧の成因と治療に関わる基礎的研究

重症肺高血圧に認められる plexiform lesion では、PPARγ発現の減少を伴う血管内皮細胞の異常増殖が認められる。さらに、PPARγ dominant negative 細胞が、アポトーシス抵抗で、腫瘍性に増殖し、血管新生に働くことを明らかにした(Circ.Res 2003; 92; 1162-1169)。このことで、PPARγの活性化が重症肺高血圧症の治療に結びつく可能性が示唆された。

2.テーマ   肺気腫、肺高血圧症における OXIDATIVE STRESS と血管内皮障害

アポトーシスの発現に関与していることが考えられ、ATS(SEATTLE)にて報告した。現在動物モデル及び SHEAR FLOW SYSTEM を用いて、その機序の検討を行っている。

3.テーマ   NOによる血管リモデリング抑制機序に関する研究

細胞外NO投与による肺動脈平滑筋細胞の増殖に関与する分子生物学的機序について MAP kinase と Tumor suppresser p53の関与について明らかにした。

4.テーマ   慢性呼吸不全における肺循環のリモデリング機序についての研究

プロスタサイクリンアナログを用いて肺動脈平滑筋細胞モデルにおける細胞増殖抑制作用を検討している。

5.テーマ   低酸素への肺動脈平滑筋細胞の分子生物学的応答

低酸素暴露下での肺平滑筋細胞増殖における細胞内シグナル伝達とNOによる細胞増殖抑制の機序について検討を行っている。

臨床的研究

1.テーマ   腫瘤陰影を呈する肺疾患におけるFDG-PETの有用性の検討

抗酸菌感染症におけるFDG-PET画像の特徴を明らかにした。また、PETの遅延像による腫瘍診断の有用性を明らかにした。





循環器内科

基礎的研究

1.テーマ   アルドステロンと心不全の関連

アルドステロンは心不全で代償的に増加することが知られている。このアルドステロンは心臓に直接作用して心筋線維化を引き起こす。我々はアルドステロンの受け手であるアルドステロン受容体(MR)が心不全患者の剖検心で増加していることを報告した。(Congestive Heart Failure, 2004, in press) また、MRの選択的ブロッカーであるeplerenoneが高食塩負荷したDahl食塩感受性ラットの生存率を有意に増加させることを、そのメカニズムの一つとしてeplerenoneによるMR発現の抑制を明らかにした。(under submission)

2.テーマ   血管平滑筋細胞(VSMC)とステロイドホルモン

これまでにグルココルチコイドの短時間作用がVSMCを増殖させることを報告した。(Biochem Biophys Res Commun, 245, 493-496, 1998)その増殖因子の候補としてamphiregurinが挙げられ、実際、amphiregurinがMAP kinase系シグナル伝達経路を介するVSMCの強力な増殖因子であることを報告した。(Biochem Biophys Res Commun, 301, 1109-1115, 2003)

臨床的研究

1.テーマ   冠動脈疾患における血清デオキシリボ核酸分解酵素T(DNaseT)活性

血清DNaseT活性が急性心筋梗塞(AMI)の急性期に上昇することを見出し報告した。(Circulation, 109, 2398-2400, 2004)現在、AMIの診断マーカーとして臨床応用すべく研究を継続している。さら血清DNaseT活性が、冠動脈インターベンションや冠攣縮誘発陽性試験後、トロポニンTなど他のマーカーが正常の患者においても一過性に上昇することを見出し、心筋梗塞のみならず一過性心筋虚血のマーカーとしても利用できる可能性があることを明らかにした。(Eur Heart J. in press) 現在、このメカニズムの解明も遺伝子レベルで行っている。

2.テーマ   心筋梗塞と DNaseT 多型

DNaseTには1型、1−2型、2型の遺伝的多型が存在するが、そのうちの2型が、心筋梗塞発症の独立した危険因子であることを明らかにした。(under submission) 現在、このメカニズムを分子生物学的に検討している。

   


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