「がん抑制遺伝子のはたらき」
平成16年8月25~27日の3日間にわたりサイエンス・パートナーシップ・プログラム教育連携講座が生物資源部門とバイオ実験機器部門の共同で開催されました。サイエンス・パートナーシップ・プログラム教育連携講座とは中高生に科学に興味を持ってもらい理科離れを防ぐ目的で行われている講座で、今回は県内の8つの高等学校・高等専門学校より32名の参加者があり「がん抑制遺伝子のはたらき」についての講義及び実習を行いました。
1日目
初日は「p53遺伝子の役割」(生物資源部門 小泉助教授)、「生命科学における先端的機器の役割」(バイオ実験機器部門 松川助教授)の二つの講義を受講し、午後より生物資源部門の実験室において下記の4つの実習を行いました。
- 初代細胞培養(p53ノックアウトマウス)
- 紫外線、X線による細胞のアポトーシス誘導
- キメラ胚の作製(キメラマウス)
- 核への微量注入(トランスジェニックマウス)

初代細胞培養

キメラ胚の作製
2日目、3日目
残りの2日間は5つの班に分かれ、バイオ実験機器部門において各グループが次のような実習を行いました。
A班 電子顕微鏡によるアポトーシス細胞の超微細構造観察
アポトーシス細胞の電子顕微鏡用試料を各自が作製し、透過形及び走査形電子顕微鏡で観察・写真撮影を行う。
B班 アポトーシスの免疫蛍光観察
アポトーシス細胞の核DNAを蛍光染色し、核内の変化を共焦点レーザー顕微鏡で観察する。
また、アポトーシス細胞よりDNAを抽出し電気泳動によりラダーを確認する。
C班 p53遺伝子ノックアウトマウスでのp53遺伝子構造解析
p53ノックアウトマウスの遺伝子構造がどのように変化しているのかを、DNAシーケンサーで遺伝子配列を確認する。
D班 p53遺伝子ノックアウトマウスでのp53遺伝子発現解析
UVで刺激した細胞よりRNAを抽出し、p53に関連した遺伝子の発現がどのように変化するのかを定量PCRを用いて調べる。
E班 プロテオーム解析
組織や細胞内に発現している蛋白質を分離する二次元電気泳動法を行い、マウスの臓器間の発現蛋白の違いを明らかにする。

A班 走査電子顕微鏡

B班 レーザー顕微鏡

C班 DNAシーケンサー

D班 定量PCR

E班 質量分析装置

初めてのピペット操作
今回の講座は3日間連続で朝から夕方まで講義及び実習を行ったため、高校生の皆さんにはかなりハードな内容だったと思いますが、各実習のデーターは参加した生徒の皆さんの頑張りで当初の予定通りの結果を出すことが出来ました。また、これだけの内容の講義及び実習を高校生の皆さんはどのように受け止めてくれるか心配でしたが、実習終了後に行ったアンケートの結果を見てみると「内容は難しかったが授業は面白かった」という回答がほとんどでした。

最後にみんなでポーズ