「クラゲの蛍光蛋白の秘密とその利用」
平成17年度のサイエンス・パートナーシップ・プログラム教育連携講座が生物資源部門とバイオ実験機器部門の共同で開催されました。今回は8月11、12日及び25、26日の2回に分けて県内の9つの高等学校・高等専門学校より36名の高校生が参加し、現在、医学・生物学の分野で非常に良く使われているGFP(クラゲの蛍光蛋白)に関する様々な実験を体験しました。
1日目は「遺伝子改変動物の作製と利用」(生物資源部門 小泉助教授)、「研究の方法論」(バイオ実験機器部門 松川助教授)の2つの講義を受講し、引き続き2日間にわたり各高校ごとに別れて実験を行いました。
参加した皆さんは、慣れない実験を長時間にわたって行った為かなり疲れた様子でしたが、若さで2日間がんばってくれました。また、実験終了後にはレポート提出という宿題まであり、学校祭の準備や受験勉強などで忙しい中、大変すばらしいレポートを作成してくれました。実験内容及び各高校のレポートは下記に掲載してあります。
(今回のSPP講座で用いたグリーンマウスは大阪大学の岡部らが作成し、理研バイオリソースセンターで維持しているものを譲渡されたものです。)
A班:「骨髄移植を受けたマウスでのドナー細胞の推移をみる」
- グリーンマウス(GFPトランスジェニックマウス)ではどの組織でGFPが発現しているか蛍光観察により調べる。
- グリーンマウスと普通マウスのキメラマウス、グリーンマウスの骨髄を移植したマウスについてGFPを発現している組織、臓器を蛍光観察により調べる。
- 蛍光が観察された組織、臓器の凍結切片標本を作成し、どの部位にGFP陽性細胞があるか、組織の抽出液の蛍光強度によりどの程度ドナー由来の細胞があるかを調べる。
レポート
B班:「siRNAによる細胞内におけるGFP(緑色蛍光タンパク)発現の抑制」
- siRNAの大きさを電気泳動により確認する。
- GFP及びDsRedを発現するプラスミドベクターを大腸菌より精製し濃度を測定する。
- siRNAとGFPプラスミド(もしくはDsRedプラスミド)を培養細胞に導入し、蛍光蛋白の発現が抑制されるかどうかを蛍光顕微鏡で観察し写真撮影を行う。
レポート
C班:「遺伝子改変マウスのGFP遺伝子の染色体上の位置の可視化と、ヒト染色体特異的 DNAプローブによるFISHの検出」
- GFP遺伝子の蛍光標識プローブを作製し、蛍光イメージアナライザーで確認する。
- 培養細胞から染色体標本を作製する。
- ヒト染色体特異的DNAプローブでFISHをおこない、共焦点レーザー顕微鏡で観察する。
レポート
D班:「DIGE法によるプロテオーム解析」
- マウスの各臓器からタンパク質を抽出し濃度を定量する。
- タンパク質を蛍光色素で標識し、二次元電気泳動でタンパク質を分離する。
- 蛍光イメージャーで検出し、発現量の変化を比較する。
レポート
E班:「GFPトランスジェニックマウス(Green Mouse)のGFP遺伝子構造解析」
- 組織からDNAを抽出し、その濃度を測定する。
- PCRにより遺伝子を増幅する。
- DNAシーケンサーにより遺伝子の配列を調べる。
レポート

1回目(8月11、12日)

2回目(8月25、26日)