福井大学医学部

腎臓病態内科学(臨床検査医学)

診療内容紹介

どんな診療をしているのか?

入院治療に関して、7床のベッドが確保されていますが、現在、稼働率は常に100%を超え、 平均10名程度の患者さんが入院しています。主な内訳は、新規透析の導入、急性腎不全、 ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、膠原病性腎症などの治療で、幅広く腎疾患、 ならびに、付随する全身の診療にあたります。これら以外にも、腎移植後の患者のケアをしたり、 術後の腎機能障害の輸液・治療のコンサルトを受けたりしています。また、腎生検は、 他科からの依頼を含めると年間約50件の診断を行います。各症例の治療方針は、光学顕微鏡・ 蛍光抗体法・電子顕微鏡の生検結果を踏まえ決定するため、臨床への還元を目的とした腎病理の勉強も可能です。 福井県内でも自施設内で、生検・病理診断・治療を三位一体で行っているのは当院だけです。 さらに透析室も拡充され透析診療も行っています。(上の写真はSENSHIN30号掲載)

検査・治療の特色、成績

腎臓病のいろいろ

腎臓内科では腎炎やネフローゼ等の様々な腎臓病を対象としていますが、大きく分けて、腎臓に最初に病気が起こるタイプ(一次性腎疾患)と全身の病気が腎臓に及んでくるタイプ(二次性腎疾患)にわかれます。これらはそれぞれ治療法が異なりますので、はっきりと診断をつける「腎生検」は大切な手段です。また、どのような原因でも進行すると腎臓の力が低下して、腎不全になります。こうなった時点では失われた腎機能を補う人工腎臓として、血液や腹膜透析療法が必要です。

腎生検について

腎生検の適応となる疾患は、急性腎炎、慢性腎炎、急速進行性腎炎、ネフローゼ、膠原病、糖尿病などがあります。目的は、現在の腎炎の状態を正確に把握し、原因を究明し、腎臓病の将来を予測し、治療方針を決定することです。検査は、うつ伏せとなって、超音波で腎臓を確認し、局所麻酔後に長さ1.5 cm、幅1mm程度の腎組織を採取します。時間は、20-30分程度で終了します。検査のみなら、1週間程度の入院で退院です。当科では、年間に約50例(福井県では最多)の腎生検を診断しています。

慢性腎炎の治療

慢性腎炎は、血尿と蛋白尿が年余にわたって持続する慢性の腎臓病です。その代表的な原因である IgA腎症は児童期・青年期に血尿で発症し、無症状で進行して約30%の人が、20年で腎不全になり、透析を余儀無くされる頻度の高い疾患です。1年以上血尿・蛋白(0.5g/日以上)を呈する症例に腎生検の入院を勧め、腎病理所見から進行しそうな例に副腎皮質ホルモン療法などのため入院(4週間)を行い、その後外来での治療を継続します。

ネフローゼ症候群の治療

腎生検の病理組織結果に基づいて、蛋白減少効果、腎保護効果の医学的根拠が示されている降圧薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬など)、 副腎皮質ホルモン治療、抗血小板薬を併用し、最適な治療をします。これらの治療に反応しない難治性ネフローゼ症候群には、さらにシクロスポリン(ネオーラル)を用いて治療し、ネフローゼに伴う高コレステロール血症に、LDL吸着療法を行い、寛解導入を早め、ステロイド投与量を少なくする努力をしています。

糖尿病性腎症の治療

典型的な場合は原則的には腎生検は行いませんが、他の腎疾患の合併を疑う場合には腎生検を行います。食事療法、血糖コントロールの他、蛋白減少効果、腎保護効果の医学的根拠が示されている降圧薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンII受容体拮抗薬など)、抗血小板薬、高脂血症薬、尿毒素吸着薬(クレメジン)を併用し、集学的で最適な治療をめざします。また、重要な合併症である網膜症(眼科)、神経障害(第二内科)、動脈硬化症(内科、第二外科)の検査も他科との連携で積極的に進めて行きます。

人工腎臓部における各種治療法

慢性腎不全患者に対して、血液透析、CAPD療法の導入を患者さんの積極的同意を得て開始しています。また、透析患者の他科での検査、手術(腎移植を含む)のために、積極的に協力し、より質の高い医療が受けられるようにしています。

腎センター化で広がる腎移植

11990年に生体腎移植第1例目を実施し、また同年、死体腎(献腎)移植第1例目も施行しました。福井県では唯一の献腎移植機関です。1995年には日本移植ネットワークが設立され、以後、ネットワークを通じて8例の死体腎提供をうけました。1998年には臓器移植法が発効し、脳死者からの臓器提供および移植担当病院となっています。「腎移植」は、血液透析や腹膜透析に比べ通院の頻度が少なく食事や飲水量、日常生活の制限が少なく、女性の場合、出産できる可能性が大きくなります。ドナー(あげる方)、レシピエント(もらう方)の年齢は歳ぐらいまでが目安とされます。昨年、ABO血液型不適合移植の保険適応が認められ、これまで血液型が合わないからとあきらめていた方々でも、6親等以内の血族か3親等以内の姻族間で、どんな血液型の組み合わせでも生体腎移植が可能となりました。現在、献腎(死体腎)移植を希望する場合は日本臓器移植ネットワークへの登録と同ネットワーク関連施設である福井大学腎センターへの受診が必要となっています。選定基準は血液型などを点数化して考慮されます。臓器移植法の改定で親族優先提供(生前意思表示のあるドナーから配偶者、子、父母へ)が可能となりました。 福井大学腎センターでは腎臓内科と泌尿器科の協力体制の下に献腎移植、生体腎移植、透析治療を経ずに移植を行う先行的腎移植など多数行って来ました。さらに従来、拒絶反応で生着が難しかった血液型不適合腎移植や抗HLA抗体陽性腎移植も実施しています。県内で初めてABO不適合腎移植を成功させた際には新聞にも取り上げられました。ドナーとレシピエントを全身検査し、計画的な移植を行っています。術後の通院やドナーのフォローも生涯行っています。栄養管理士・ME技師・看護師・医師を含めた職種横断的カンファレンスを行い、血液透析・腹膜透析・アフェレシス・腎移植・保存機腎不全患者の管理について情報共有を図っています。

多発性嚢胞腎(ADPKD)に対する診断治療

常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、両側腎臓に多数の嚢胞が進行性に発生・増大し、腎臓以外の種々の臓器にも障害が生じる最も頻度の高い遺伝性嚢胞性腎疾患です。加齢と共に嚢胞が両側に増加、進行性に腎機能が低下し、60歳までに約半数が末期腎不全に至ります。腎嚢胞進行を抑制する治療として、降圧療法、飲水食事がありますが、2014年3月にバソプレシンV2受容体拮抗剤(トルバプタン)が保険収載されました。2015年1月より新たに難病医療費助成制度がスタートし、ADPKD(多発性嚢胞腎)が対象となりました。患者さんの所得に応じて自己負担額が軽減できます。

腎臓病態内科学(臨床検査医学)研究室

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