科長 濵野 忠則 副科長 榎本 崇一
医局長 内藤 達志 外来医長 遠藤 芳徳 病棟医長 榎本 崇一
頭痛や脳卒中、アルツハイマー病などの神経common diseaseからパーキンソン病、ALS、筋疾患などの神経難病の診断と治療に関して、幅広い疾患を対象として診療を行っています。特に、認知症に関しては、2011年9月より当院は認知症学会教育指定病院に認定され、臨床心理士、PSW、認知症認定看護師とともに、毎週月曜日、および第2・4木曜日午後にもの忘れ外来を行っています。また、脳卒中診療では年間100例以上の虚血性脳卒中患者を受け入れ、超急性期の血栓溶解療法(t-PA)から早期リハビリテーションまで、虚血性脳卒中の急性期診療に必要な検査、治療を行っています。特に神経超音波検査では経頭蓋カラードプラ、頸部血管エコー、経食道心エコー、下肢静脈エコーのすべてを神経内科医の手で実施しています。チーム医療の実践にも力を入れ、多職種参加型カンファレンスの実施や脳卒中地域連携パスの運用を積極的に行っています。また、パーキンソン病に対するMIBG心筋シンチ、DAT scan、さらには皮膚生検によるシヌクレインの検出も関連施設との協力のもと行っています。片側顔面けいれん、眼瞼けいれん、痙性斜頸に対するボトックス療法も積極的に行っています。さらに、脊髄小脳変性症やミトコンドリア病の遺伝子解析、橋本脳症の自己抗体の解析などを学内倫理委員会の承認の元に行い、遺伝診療部と協力し遺伝性疾患の患者・家族への遺伝カウンセリングも行っています。
2022年度神経内科診療について
病床数は定数20床で、2022年度の入院患者数は304人でした。最善の診断・治療の提供と並行して、専攻医・研修医・医学生への指導に日々取り組んでおります。
入院診療につきましては、急性期脳梗塞を中心とした脳血管障害が49%を占めます。当院は一次脳卒中センター(PSC)コア施設として、嶺北全域から患者さんを受け入れ、速やかに診断・治療(rt-PA療法、機械的血栓回収療法)を実施できる体制を整えております。次いで認知症やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患が13%を占めています。社会の高齢化に伴い、これらの疾患は今後も増加していくと予想されています。病診連携、多職種連携をより密にし、患者・家族への支援体制の強化をさらに進めたいと考えております。
外来診療につきましては、2022年度は濱野、山村、井川、榎本、遠藤、北﨑、佐々木が担当しました。救急対応にも力を入れ、神経救急疾患の他、内科全般を視野に入れた診療を心がけております。物忘れ外来では、事前に臨床心理士による認知機能検査を行い、スムーズな診断・治療につなげております。頭痛外来では頭痛専門医が難治性片頭痛などの診療にあたっております。当院は脳機能画像検査が充実しており、より確度の高い診断が可能となっております。2022年度の検査件数は、頸部血管超音波検査174件、下肢静脈超音波検査125件、経食道的心エコー検査2件、脳波検査152件、筋電図・神経伝導検査など247件でした。地域の医療機関の先生方のおかげで、例年並みの紹介患者数を維持することができました。
引き続き、診断・治療に難渋する症例を積極的にお引き受けし、高次医療機関としての使命を果たしながら、治療成績の向上に努めていきたいと考えております。