福井大学医学部附属教育支援センター

留学体験記

インドネシア医学研修へ参加して

医学科4年 AM

 私は2018年の夏休みを利用して、インドネシアのスラバヤで約4週間医学研修に参加しました。このプログラムはアイランガ大学Dr.Soetomo病院での2週間の臨床医学研修とITD(InstituteofTropicalDisease)での2週間の基礎研究研修で構成され、熱帯感染症を学ぶことに焦点が当てられています。医学科には3年次に研究室配属というカリキュラムがあり、そのうち定清直教授のゲノム科学・微生物領域の研究室で設けられていたのがこのプログラムでした。このプログラムは交換留学でアイルランガ大学の学生も福井大学へ研修に来るため、参加学生がそれぞれの国でお互いの生活をサポートし合えるメリットもあります。私は3年生ということで、まだ日本で臨床研修を経験していない状態での国外の研修になるので不安はありましたが、日本では経験できない感染症の症例を見たり、現地のサンプルを使った感染症の研究の現場を見させていただける機会はなかなかないと思い、参加することを決めました。
 臨床研修は現地の医学生に交じって小児科で行いました。同じ斑のメンバーたちはインドネシアで多く見られる感染症や身体所見の取り方などを英語で丁寧に教えてくれました。彼らのサポートのおかげで、私はデング熱の患者さんをフォローアップし、熱帯感染症部門の先生にその症例報告を行うことができました。
 研究研修では、デング熱、HIV、鳥インフルエンザ、ウイルス性下痢の4つの研究室をローテーションしました。どの研究室も疫学研究をメインとしており、インドネシア各地で採取したサンプルからウイルスのサブタイプや遺伝子型などを特定し、各地の時期ごとの傾向をつかむことで、ウイルスの拡散ルートの分析や新型発生の察知などを目指して研究が進められていました。これらのウイルスは病原性の強い新型が発生した場合、日本へ入ってきて影響を及ぼすこともあるため、それを食い止めるべく、現地で監視することも目的としているそうです。ウイルスの疫学研究がいかに重要か学ぶことができました。
 英語がそれほど通じないインドネシアでの生活には困難もありましたが、その中で出会った人たち、経験したことのすべてが自分にとって人生の糧になりました。