福井大学福井大学医学部福井大学医学部附属病院
高エネルギー医学研究センター スタッフ 研究・業績 パートナー ワークショップ
研究・業績
Sub Contents
研究・業績
研究分野
高エネルギー医学とは?
センター
リーフレット
(PDF形式 2.3MB)
高エネルギー医学研究センター リーフレット(PDF形式)
リンク
研究設備
福井大学附属病院
PET検査
HOME ニュース センターご案内 アクセス English
HOME > 研究・業績 > 高エネルギー医学とは?
世界の先端をゆく、画像医学研究

私たちは、医学、薬学、工学を融合し、生体画像診断、新薬研究、分子イメージング、高次機能研究などを通じて高度先端医療技術水準の向上による社会貢献を目指しています。
高エネルギー医学研究センターの研究内容や、先端の医療について簡単にご説明します。

医学博士  岡沢 秀彦 センター長
高エネルギー医学について
 
放射線、光線、電波などと、いろいろな線が地球上に充満しています。これらはいずれも電磁波エネルギーです。一般にエネルギーが強いとそれだけ透過力が強くなります。そこで、身体の中の様子を透かしてみようとすると光線より透過力の強い放射線のような高エネルギー線を利用する必要があります。医療に利用されているX線、ガンマン線などは、いずれも光よりエネルギーの強い高エネルギー線です。
アインシュタインが、万物の状態の変化に伴ってエネルギーが発生すると言いました。自動車が衝突して壊れるとき、火花が飛びますが、あれがエネルギーです。衝突が激しいとそれだけ強いエネルギーが発生します。
サイクロトンとは
陽電子放出原子などの、放射線を出して崩壊する不安定な原子を作るためには、安定な原子に陽子などの粒子を衝突させて不安定な状態にする必要があります。このためには粒子を強い電磁石の間でグルグルと回転させて加速し、強いエネルギーを与えて安定な原子に衝突させる必要があります。このような装置をサイクロトロンと言います。
PETの検査も利用する陽電子放出原子は極めて不安定なもので、製造してもすぐに放射線を出して安定な形になります。すなわち、半減期が短いので病院内にサイクロトロンを設置して検査の実施に応じて陽電子放出原子を作らなければなりません。このようにして作られた陽電子放出原子を種々の生体構成物質に標識したRI標準薬剤を現場で引き続いて合成し、患者様に投与します。


サイクロトロン
最新のガン診断「PET」とは  
PET(陽電子放射断層撮影)検査は、ガンの早期発見などに高い精度で発見でき、ポジトロン(陽電子)を 放出するアイソトープ(同位元素)で標識された薬剤を注射し、その体内分布を特殊なカメラで映像化する新しい診断法です。 PETで使用される薬剤(FDG)はブドウ糖をアイソトープで標識したものです。がん細胞は正常の細胞よりも活動性が高いため、栄養であるブドウ糖をたくさん取り込む性質があります。このような研究を通じて医療の向上を目指しています。 イラスト
PETの有用性
PETを利用すれば、アルツハイマー病の早期診断をはじめとして、他の様々な病気においても、従来の検査法よりも早期に確実な診断ができるようになると期待されます。これによって無駄な検査が省略できるようになるばかりではなく、治療による患者様の負担も軽減できると考えられます。また、脳血管や心臓の動脈の狭窄や閉塞性病変に対する外科的治療は、手術の危険性も大きく、その経費も高価なものですが、PETでは手術前に手術の効果を予測することもできますので、無駄な治療をなくすことが可能になります。
癌に対する治療の効果もX線CTなどよりも早期に評価することができます。右の図は、上段が60才男性、下段は55才の女性でいずれも膵癌の患者の成績です。治療前のPET(左)では、両者ともに膵臓の体部にある腫瘤に一致して非常に強い放射能の取り込みがみられます。放射線照射療法が有効であった上段の症例では治療中のPET(中央)で、すでに癌の放射能の取り込みが、治療前より低下しているのに対して、下段の症例ではほとんど変化なく、治療終了後のPET(右)でも治療前と同じ程度の放射能の集積が認められ、放射線療法はほとんど効果が無かったと判断されます。このように、PET検査を適切に利用すれば、効果のあまり期待できない抗癌療法は早期に中止し、それぞれの患者に最も有効な治療法を選択することができるようになると期待されます。
PETの有用性の高い例
(1)良悪性の識別
(2)再発の診断
(3)全身病変の検索
(4)リンパ節の質的診断
(5)治療効果判定
画像診断法の発展経過
X線CTが開発され人体の横断断層像が得られるようになり、画像診断の重要性は飛躍的に増加しました。さらに磁気共鳴画像装置(MRI)が開発され、全身の様々な病気の診断に広く利用されています。これらの画像診断装置は、いずれも形態学的な変化の描出には非常にすぐれています。逆にいえば、形態学的な変化を起こさない間は、病気を診断できません。一般には、機能的な変化の方が形態学的な変化よりも先に引き起こされると考えています。PETの形態学的な分解能はX線CTよりも低いのですが、局所の機能情報を画像化でき、従来の画像診断装置では発見できない病気をより早期に診断することができます。
下の図は、痴呆の原因として知られるアルツハイマー病の患者頭部のX線CT(左)、MRI(中央)、PET(右)の画像を示します。X線CT、MRIでは明かな異常は認められませんが、PETでは両側の頭頂葉から側頭葉の頭部にかけて、特徴的な脳血流量、酸素消費量およびブドウ糖消費量の低下が描出され、これはアルツハイマー病初期の典型的なパターンです。
  PAGE TOP
 
福井大学 高エネルギー医学研究センター
  〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23-3(福井大学 松岡キャンパス内)
Tel:0776-61-3111(代表) Email:bircfukui@gmail.com
©2006 Biomedical Imaging Research Center All rights reserved.