平成27年度の動物実験の概要


     

飼養保管施設と安全管理

 飼養保管施設として承認され、実験動物の飼養保管が行われた施設は松岡キャンパスと文京キャンパスで合わせて8箇所です。主要な飼養保管施設はライフサイエンス支援センター生物資源部門です。平成27年度に特に安全管理あるいは生物多様性の確保のため注意を要する実験(遺伝子組換え動物実験、感染実験、放射性物質や放射線を用いる実験、有害化学物質等を用いる実験)は安全対策がとられている6施設で実施されています。特定動物種(いわゆる危険動物)の飼養はなく、特定外来種ではウシガエルが環境省の許可を得て飼養されました。
   
飼養保管施設と安全管理
  ○:該当あり ×:該当なし 感染:BSL-2
      


遺伝子組換え動物実験
 遺伝子組換え実験では宿主と供与核酸の組み合わせにより、クラス1、クラス2、クラス3、に分けられ、クラスに応じた拡散防止措置を執らなければなりません。 動物実験では、P1A,P2A,P3Aの拡散防止措置になります。また執るべき拡散防止措置が決められていない場合は、大臣確認実験として、大臣に確認申請を行うことが法令で定められています。 本学ではP1AとP2Aの拡散防止措置を要する遺伝子組換え動物実験が行われ、P2Aレベルでは遺伝子組換え実験安全委員会の承認、P1Aレベルでは同委員会への届出が行われております。P2A実験室は生物資源部門のP2A実験室、組織細胞学・神経科学の動物室、コンベンショナル動物室の3施設が遺伝子組換え安全実験委員会より承認を受けています。 

  文部科学省 遺伝子組換え実験
  福井大学遺伝子組換え実験安全規程
  
  拡散防止措置チェクリスト 
           P1A実験室
           P2A実験室
   


感染実験
 感染実験は、使用する病原体により、バイオセフテイレベル1から4までの安全対策を執る必要があります。本学では、バイオセフテイレベル2(BSL2)までの感染実験に対応した感染実験室が生物資源部門に設置されており、BSL2感染実験が行われています。

BSL2とはヒトあるいは動物に病気を起こすが、実験者、その属する集団、家畜、環境に対して重大な災害を起こす可能性は殆どない、また実験室感染で重篤感染を起こしても、有効な治療、予防法があり、感染の拡大も限られているとされる病原体です。 
BSL1とはヒトに疾病を起し、あるいは動物に獣医学的に重要な疾患を起す可能性のないものとされる病原体です。

  感染実験における安全対策(国立大学法人動物実験施設協議会)
  感染動物の飼育管理等(日本細菌学会バイオセフテイ 2000)
  
  福井大学動物実験委員会
    病原体等を用いた動物実験に関するガイドライン(2012)
        


発癌剤等の有害化学物質投与実験
 生物資源部門の有害物質投与実験室において現有設備で安全に実験が実施される場合に限り、実験が承認されています。
  
 変異原性が認められた化学物質の取扱いについて(平成1946日 
 厚生労働省労働安全基準局長 通知
)

 
 生物資源部門利用手引き
    


放射性物質投与実験
 放射性同位元素(RI)を用いたトレーサー実験はライフサイエンス支援センターの放射性同位元素実験部門および高エネルギー医学研究センターの放射線管理区域にて行われています。

 放射性同位元素実験部門
 高エネルギー医学研究センター

実験計画

 動物を用いた実験計画は、実験責任者が動物実験計画書(様式1)、変更が生じる場合は、変更承認申請(様式2)により、実験計画の承認申請を行います。平成27年度は121件の計画書が申請され、そのうち感染実験が6件、P2A遺伝子組換え実験が3件、P1A遺伝子組換え実験が39件、放射性物質や放射線を用いる実験が13件、有害化学物質等を用いる実験が0件でした。動物実験委員会で検討した結果、すべて承認されました。
 
実験計画書を実験に用いた動物、動物に加えた実験処置の苦痛区分により分類すると表のようになります。

 平成27年度の実験計画書での使用動物種、実験処置

     
 実験処置の苦痛分類はThe Scientists Center for animal Welfare(SCAW)の Categories of Biomedical Experiments Based on Increasing Ethical Concerns for Non-human Species(1987)によるもので、国立大学法人動物実験施設協議会の解説に基づきました。(注: 複数の動物種を用いる実験計画があるので、実験計画書の件数より多くなっています)。


 実験処置カテゴリーは、動物実験処置の苦痛分類に関する解説(国立大学法人動物実験施設協議会)に詳しく述べられておりますが、要約すると以下のような基準で区分され、カテゴリーC,Dの実験処置では適切な苦痛の排除処置をなどを考慮し、カテゴリーE 処置実験は、不許可となります。




飼育数、使用数


 平成27年度に8箇所の飼養保管施設で飼養された実験動物の種類、延べ飼育数および本学で使用された実験動物の数です。 
  

注:延べ飼育数とは飼育数に飼育日数を乗じたものです。例えば、100匹の
  マウスを200日飼育したとすると、200x100=20,000と表します。

実験に使用した数
 実験が翌年度に継続中のものも多く、平成27年度に実験処置を行い、年度内に殺処分したものを使用数としました。(重複をさけるため、生存中のものは、殺処分した年度において使用数として集計しております。)