私は平成27年4月1日に、上田孝典前教授(現 福井大学学長)の後任として、福井大学病態制御医学講座内科学(1)教室をお引き継ぎいたす大役を仰せつかりました。これまでの本学における取り組みをご評価いただき、教授として選出頂きましたことは、身に余る光栄に存じます。同時に、初代教授・中村 徹先生、第二代教授・上田 孝典先生が築いてこられました伝統ある本教室の一員として引き続き奉職させて頂くことになり、その責務の重さに身の引き締まる思いです。
自己紹介を兼ね、ご挨拶を申します。私は平成元年に福井医科大学を卒業し、内科学(1)教室に入局しました。附属病院第一内科で初期研修をスタートし、平成2年より京都府国民健康保険弥栄病院内科に医員として2年間赴任しました。平成4年に大学院に入学し、平成8年に学位を取得し、助手となりました。平成11年から米国 MD Anderson がんセンターの、Cytarabine 研究の第一人者の一人である Plunkett 博士の教室で、抗がん薬の基礎研究に従事しました。帰国後、平成20年より講師となり、平成20年から4年間病棟医長、平成24年から3年間外来医長を務めました。そして平成27年4月より現職を拝命しました。
研究については、教室の中心テーマである抗がん薬の研究に、引き続き取り組んで参りたいと思います。今後のがん化学療法の発展は、がんの分子病態の解明に基づく分子標的薬の至適投与の確立にかかっています。白血病を中心とするがん細胞において、さまざまな抗がん薬の薬理・薬物動態・耐性機序を、薬剤の作用点である血液レベル、細胞内レベル、DNAレベルで検討します。さらに、細胞の抗がん薬に対する反応から、逆にがん細胞の代謝特性・分子異常を解明したいと思います。そして、患者さん個々人に応じたテーラーメイドがん薬物療法を確立し、がんを薬で治すことを目指したいと思います。診療については、白血病を中心とする造血器悪性腫瘍の治験・臨床研究を推し進め、腫瘍内科領域の診療を充実させ、がん薬物療法のメッカとなるようにしたいと思います。また、感染制御部岩﨑博道教授の感染症・膠原病グループとの協力体制のもと、本教室が福井県における血液・感染症の最後の砦として県民の医療に貢献したいと思います。もう一つ重要な診療分野として、高尿酸血症・痛風があり、さらに発展させていきたいと思います。
私の目標は、教室の発展と教室員ひとりひとりの夢の実現を、両立させることであります。「楽しく、仲良く、全力で!」 をモットーに、若い医師がたくさん来ていただけるような、人垣で活気あふれる教室を作りたいと思います。活気があるとは、夢があるということと思います。そして、夢があるとは覚悟があるということかと考えます。これからも、患者さんの診療を第一として地域医療を守り、基礎・臨床両面での研究を推し進め、学内・学外の先生がたとの連携を重視し、医療、医学、内科学(1)教室、そして福井大学のさらなる発展に少しでも寄与できますよう、誠心誠意努力いたす所存であります。何分にも浅学菲才の身であります。今後とも何とぞ倍旧のご指導・ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。