内科医とは、患者さんの訴え、身体所見、検査所見、画像所見、生検病理所見から、患者さんの身体の中で何が起きているのかという病態生理を、主治医の頭の中で再構築して診断を下し、科学的エビデンスに基づいて最適の治療を行う医師です。さらには臨床上の疑問に対して、基礎的・臨床的研究を行い、回答を出し、病態の解明と新治療の開発を行います。
現在私たちの診療科で、最も力を入れている診療分野の1つが、血液がんです。今や国民の約半分ががんになる時代です。がんの治療は大きく分けて、手術、放射線照射、薬(抗がん薬)の3つがあります。血液がんは内科のがんであり、治療の中心は薬です。その点で、血液がんの分野はがん薬物療法の発展を牽引してきました。今では治療薬として伝統的抗がん薬に加え、がん細胞の遺伝子異常を標的とする分子標的薬と、抗体医薬/CAR-T/免疫チェックポイント阻害薬といった免疫療法薬が続々と登場し、がん薬物療法は今大きく変わろうとしています。当科では新しい治療の開発に少しでも貢献できるよう、他施設の先生方とともに、数多くの臨床試験や治験を行っています。さらに私たちの診療科は、福井県唯一の骨髄移植認定内科施設として、現在年間15例ほどの移植を行っております。このように血液がん治療の根幹である薬物療法と移植療法を精力的に推進しています。
昭和55年の開講以来、福井大学病態制御医学講座内科学(1)教室の同門会員は、150名になろうとしています。同門の先生方は、福井県を中心に、また県外においても、大変ご活躍をなさっています。しかし、血液、腫瘍、感染症、膠原病、代謝、あるいは循環器と専門診療科は違えど、皆、一人の内科医として医療の最前線で患者さんに寄り添い、さまざまな疾患に立ち向かっています。考えてみますと、内科医であるという当たり前の大前提を実践し、医療に貢献することこそが、私たち内科学(1)の存在理由(raison d'etre)であることに気が付きます。血液、感染症などといった専門領域は、内科を実践するための手段に過ぎません。また、臓器別専門分野の Subspecialist と、地域の中でプライマリケアを実践する Generalist は、決して二律背反ではありません。一人の内科医の中で混在するものであり、それこそが真の内科医の姿であろうと思います。昨今、内科を選択する若い医師が減ってきています。もう一度医師を志した原点に戻って、内科医として人生を全うするという道をお考えいただければ幸いです。
定員 | 特になし 出身大学は問いません。 |
申込締切 | 附属病院の締め切りに準ず。 |
選考方法 | 面接 |
説明会 | 日時、場所は希望者に適宜連絡します。 |
連絡先 |
山内 高弘(教授) TEL. 0776-61-8343 |