福井大学医学部

老年看護学

研究内容紹介

 

主要研究テーマ

体圧分散寝具使用時のベッドメーキングの違いがエアマットレスの圧再分配機能に及ぼす影響

体圧分散寝具使用中のシーツのコーナー処理法によっては,ハンモック現象が生じ圧再分配を妨げると言われているが,実証はされていない。そこで本研究は,シーツのコーナー処理法の違いが,圧再分配機能に影響しているか殿部モデを用いて評価した。結果,コーナー処理をすることによって,シーツをかけたのみ(処理なし)と比較して1.8倍圧が上昇することがわかった。このことから,体圧分散寝具使用時はコーナー処理をしないまたは,緩めて敷くことが圧に影響しないことが明確となった。

寝たきり高齢者の褥瘡およびスキンテアを予防するシーツの開発

スキンテア(外傷性創傷)は,高齢者の脆弱化した皮膚に些細な摩擦やずれを起こすことによって発生するといわれている。そこで,シーツやリネンの素材も発生リスクになると考え,これまでの褥瘡研究の成果をもとに,褥瘡だけでなくスキンテアを予防するシーツやリネンの開発を地元福井の企業と取り組んでいる。2種類の生地が選択され,一般的に使用されている綿(平織り)に比べて,摩擦係数・ずれ力も低いことがわかった。現在,寝床内環境試験中である。

ウレタンフォームマットレスのへたりと褥瘡発生の関係

褥瘡予防用マットレスであるウレタンフォームの劣化が体圧に影響すると言われており,日本褥瘡学会のガイドラインにおいてもマットレスの劣化の確認が推奨されている。本研究ではウレタンフォームマットレスのへたり度と体圧分散に及ぼす影響,褥瘡発生の関係を調査した。臀部のへたりがもっとも大きく,体圧も新品マットレスよりも2倍以上かかっていることが明確となった。また,褥瘡発生率はへたりマットレス使用56.3%で,新品マットレス使用では20.0%にまで減少した。このことからも,ヘタリの確認の必要性が明確となった。

超音波画像(エコー)を用いた高齢者の便秘状態の定量的評価方法

高齢者や在宅療養者をケアする看護師は,排便コントロールのケアを行う頻度が高いと共に各自の判断がケアに直結している。そこで,大腸内部の便の状態を可視することで,内服の調整や浣腸の適応を迅速かつ適切に判断できると考え,大腸内部の状態をエコーによって描出し,腸内に停滞する便の硬さやガスの定量的評価の可能性を示唆した。現在も画像の定量化とケア基準開発にむけて継続中である(国内特許取得済)。

ドライスキンおよびスキン-テアを予防・改善するためのアセスメント・ケア方法の開発

高齢者の大きな健康問題に、ドライスキンとスキン-テアがある。ドライスキンに寄って生じるかゆみや発赤、スキン-テアによる相通や感染の危険の持続・悪化は高齢者QOLを著しく脅かす。このドライスキン、スキン-テアの改善のために、看護師は保湿剤を用いたスキンケアを行っている。しかし、臨床現場では改善しきれていない高齢者のドライスキンがみられるのが現状である。加齢により脆弱になった高齢者の皮膚に最善のケアを施すために、基礎研究ならびに臨床研究に取り組んでいる。

サルコペニア

加齢に伴って筋肉が減少し、筋力、身体機能の低下した状態であるサルコペニアが進行すると、転倒、活動低下が生じやすくなり、高齢者のADL・QOLを低下させることにつながり、要介護状態を招く可能性が高くなる。高齢者のQOLの維持・向上を目指し、要介護状態悪化の予防のために、サルコペニアに関する研究に取り組んでいる。

老年看護学研究室

TEL
0776-61-3111