福井大学医学部

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学(耳鼻咽喉科学)

ひかり免疫治療(アルミノクス治療)について

光免疫療法(アルミノックス治療)について

近年、頭頸部がんに対して新たな治療選択肢として注目されているのが「光免疫療法(アルミノックス治療)」です。
当教室では、切除不能な局所進行または再発頭頸部がんに対して、本治療を積極的に導入・実施しています。
光免疫療法

ひかり免疫療法は手術室で行います

光免疫療法は、がん細胞に結合する特殊な薬剤(アキャルックス®:楽天メディカル社開発)と、特定の波長のレーザー光を組み合わせて行う治療法です。薬剤に含まれる色素がレーザー光に反応することで、がん細胞の膜を破壊し、細胞死を引き起こします。

頭頸部

図1:頭頸部がんの主な発生部位(鼻腔、副鼻腔、口腔、咽頭、喉頭など)

光免疫療法は、これまでに手術や放射線治療を受けたがんの再発症例や、手術が困難と判断された症例において、局所制御を目指す新たな治療選択肢となります。最初の治療からは使えません。

治療の流れ

  • 入院1日目:アキャルックス®を2時間以上かけて点滴静注。
  • 翌日:全身麻酔下で、がん部位に対してレーザー光を照射。
    表面照射(フロンタルディフューザー)または内部照射(シリンドリカルディフューザー)を選択。
  • 術後管理:照射直後から腫瘍壊死が始まり痛みが出現するため、適切な鎮痛処置を行います。
  • 退院:術後1週間で光過敏症が改善されることを確認した後に退院となります。

図2:治療前の腫瘍状態 あごの部分に転移した大きな腫瘍がある

治療中レーザーの光源を腫瘍に刺している

図3:レーザー照射中の実際の治療風景

治療後1カ月腫瘍はほぼ消失

図4:光免疫療法後のがんの変化 治療後1カ月で腫瘍はほぼ消失した

副作用と注意点

  • 治療部位の疼痛(術後から出現)
  • 出血(腫瘍壊死に伴い血管に影響が及ぶことあり)
  • 浮腫(むくみ)による呼吸困難時は一時的な気管切開が必要なことがあります
  • 組織壊死・瘻孔形成:皮膚や粘膜に穴が開く可能性あり
  • 光過敏症:退院後も遮光対策(長袖・サングラス・帽子など)が必要

本治療を希望される患者さん・ご家族の方へ

本治療は最大4回まで繰り返すことが可能で、がんの状況に応じて2回、3回の照射を行うこともあります。治療の適応判断には、腫瘍の位置・大きさ・既往歴などの詳細評価が必要です。
ご希望の方は、まず主治医とご相談の上、当教室への紹介を依頼してください。当科受診後に適応かどうかの判断を行います。

大学理念との関係

光免疫療法は、世界的にも注目されている新しいがん治療技術であり、本学の理念である「人々の健康と幸福のための先端科学研究の推進」に合致するものです。当教室では、治療と並行して、治療効果の評価や予後予測因子の探索などの研究も行っています。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科学(耳鼻咽喉科学)研究室

TEL
0776-61-3111