福井大学医学部

歯科口腔外科学

教授挨拶

 

当教室は,1983年(昭和58年)10月に,福井医科大学医学部附属病院歯科口腔外科として発足し,石井保雄先生が初代教授として着任され,診療科としての基礎を築かれました.そのご努力により,1988年(昭和63年)4月には講座へ昇格となり,また多くの門下生の育成に務められました.1999年(平成11年)9月に,佐野和生先生が二代目教授として就任され,臨床・研究・教育・運営にご尽力され,多くの門下生の育成に取り組まれました.佐野和生教授の任期においては,2004年(平成16年)7月には,北川善政先生が,北海道大学大学院歯学研究科口腔病態学講座口腔診断内科学教室の教授に就任されました.また2011年(平成23年)9月には,植野高章先生が,大阪医科大学感覚器機能形態医学講座口腔外科学教室の教授に就任されました.私,吉村仁志は,2010年(平成22年)4月より佐野和教授の元で学ぶ機会をいただき,2019年(令和元年)6月に三代目教授を拝命し,教室運営に取り組んでおります.以下に抱負を述べさせていただきます.

診療

口腔外科疾患に対して,関連診療科,地域の歯科医院や病院歯科口腔外科との診療連携を強化し,より良い医療を提供していきたいと考えています.治療のゴールは患者が疾患から回復し社会生活に戻り,これまでと変わらないその人らしい人生を歩むことにあります.例えば,顎骨の再建では,顎骨形態や整容の回復のみならず口腔機能の回復も重要であるため,顎義歯や歯科インプラントを用いた口腔機能の回復を目指しています.また,高精度かつ低侵襲な治療を心掛け,入院期間の短縮を目指しています.患者様の高齢化に伴う全身疾患を有する歯科口腔外科患者の増加に対応するため,リスクファクターの評価に基づいて適切な治療を選択し,医科との連携の元にこれを実践しています.本院の理念である「最新・最適な医療を安心と信頼の下で」を実践し,口腔外科診療のみならず歯科医学的知識と技量を発揮して,院内のニーズに答えていきたいと思います.

教育

口腔は呼吸,咀嚼,摂食,嚥下,構音など生命維持に必須の機能からコミュニケーション機能まで重要な役割を担っています.医学生の講義では関連分野を担当する講座と連携して教育の推進を図っています.臨床実習では,ミニレクチャーや図書等を用いて,歯科医療を理解する上で有用となる知識を学んで頂きます.また,周術期口腔機能管理,薬剤関連顎骨壊死などにおける医科歯科連携の重要性について教育します.歯科口腔外科への理解を深めることは,質の高い医療を提供できる医師の育成に繋がるため,最大限努力したいと思います.教室の研修医・医局員には,高い倫理観を持ち患者中心の全人的および包括的な歯科口腔外科医療を行える力を養うよう指導します.また,高度で専門的な臨床技能を提供できる能力を有する臨床医を育成したいと思います.海外への留学を支援しグローバルな視点をもった医療人の育成に取り組んでいきます.歯科口腔外科学の診療・研究を発展させることのできる次代を担う医療人の育成に取り組みたいと思います.

研究

歯科口腔外科学は,口腔領域に発生する疾患の本態とその原因や成立過程を明らかにし,有効な治療法や予防法を確立する学問です.基礎研究において,増殖因子やその受容体は,腫瘍の治療や再生医療での重要な標的分子として考えられ,その臨床応用が実施されつつあります.この分野について歯科口腔外科領域での研究を進めていきます.さまざまな分子標的薬が開発されており,疾患をよりよく制御し治療効果を高める治療法,また安全な治療法について検証を行いたいと思います.臨床研究としては, 3次元デジタルテクノロジーを用いたより良い治療法とその機能評価を行い,またチーム医療での有用な方法を検討します.さらに今後の超高齢社会に必要となる低侵襲で正確な治療法の検証を行い,安心で安全な医療の発展に繋げていきたいと思います.基礎講座や臨床関連各科と連携し,新しい着眼点での研究に取り組みたいと思います.臨床面での疑問を基礎研究で解明し,また基礎研究で見出したことを臨床研究で実証できればと思います.

教室運営

大学病院の診療科として,また教育・研究機関である大学医学部の講座として,最良の医療を実践し,研究と教育を通じて医学の発展に貢献することが,重要な役割と考えています.諸先生方が築き上げられた講座をさらに発展させ,またこれからの時代を担う人材の育成を通じて,福井大学や福井県の医療に貢献できるよう努力して参りたいと思いますので,どうぞ宜しくお願い致します.

 

歯科口腔外科学研究室

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