福井大学麻酔科の取り組み
我々は大学病院の麻酔・集中治療を担う組織として、診療・教育・研究に取り組んでいます。詳細については、各ページをご参照ください。
教授からのメッセージ

麻酔の本質を探究し、次世代の麻酔科学を拓く
このたび、2025年1月1日付で、福井大学学術研究院医学系部門医学領域器官制御医学講座 麻酔・蘇生学分野の教授を拝命いたしました。
当教室は、1980年(昭和55年)、福井医科大学麻酔学教室として、初代教授・後藤幸生先生により開設されました。1990年には「麻酔・蘇生学教室」へと名称を改め、その後、2000年に福田悟先生、2006年に重見研司先生が教授に就任され、臨床・教育・研究の発展に尽力されてきました。そして2025年1月、私が四代目教授として教室を引き継ぐこととなりました。これまで諸先生方が築いてこられた伝統と歩みを大切に受け継ぎつつ、時代の変化に応じた新たな麻酔科学を創造し、その発展に貢献していくことが、私に課せられた使命であると考えております。
麻酔の「なぜ」を探究する
私はこれまで、基礎研究と臨床研究の両面から、麻酔をより深く理解し、より安全な医療につなげることを目指してまいりました。
基礎研究では、吸入麻酔薬の作用機序の解明に取り組んでまいりました。麻酔薬が使用されるようになって約200年が経ちますが、その作用機序はいまだ解明されていません。神経に広く分布するTREKチャネルに着目し、吸入麻酔薬がどのように作用するのかを、分子レベルで解明する研究を進めております。
一方、臨床研究では、麻酔科医の負担を軽減し、より安全で質の高い麻酔を実現することを目指して、ロボット麻酔システムの開発に取り組んでまいりました。これまでに、鎮静薬、鎮痛薬、筋弛緩薬の投与を自動制御するシステムを開発し、実用化に至りました。現在、複数の施設で臨床に活用されており、麻酔科医を支援する新たな技術として、その可能性をさらに広げています。現在は、血圧などの循環状態をリアルタイムに評価し、輸液や昇圧薬を自動調節する循環制御用ロボット麻酔システムの開発を進めております。このような技術により、個々の患者さんの状態に応じた麻酔管理を支援するとともに、麻酔科医がより本質的な判断や患者さんへの対応に集中できる環境をつくることを目指しております。さらにロボット麻酔の技術を発展させ、デジタル技術と組み合わせることで、患者さんの麻酔管理を支援するだけでなく、手術部全体の安全性と効率性の向上につなげていきたいと考えております。これらの技術は、麻酔科医の仕事を置き換えるためのものではありません。むしろ、麻酔科医が患者さんと向き合い、人にしかできない判断や対応に集中できる環境を実現するためのものです。私たちは、こうした技術を福井から日本へ、そして世界へと発信し、医療の質と安全性の向上に貢献していきたいと考えております。
またその実現には技術の開発だけでなく、人材の育成も不可欠です。大学の教室として、研究と臨床の発展に加え、次世代を担う麻酔科医の育成にも力を注いでまいります。日々の臨床で生まれる「なぜ」という疑問を大切にし、それを学問へとつなげる姿勢を育みながら、それぞれの個性と志をもって新たなことに挑戦できる人材の育成に努めてまいります。
「いつでも、どこでも、誰にでも、安全で快適な麻酔を」
この理念を胸に、患者さんに信頼され、若い医師が誇りを持って学び、未来の麻酔科学を切り拓いていくことのできる教室を、医局員と共に築いてまいりたいと考えております。今後とも、皆様の温かいご指導とご支援を賜りながら、福井から新たな麻酔医療を発信してまいりたいと存じます。
2026年10月1日 松木 悠佳
教室の歴史
- 1980年(昭和55年) 福井医科大学麻酔学教室として初代教授である後藤幸生によって開設されました。
- 1990年(平成2年) 開設10年を記念して、教室名を麻酔学教室から
「麻酔・蘇生学教室(Department of Anesthesiology & Reanimatology)」 にあらためられました。 - 2000年(平成12年) 福田悟が二代目教授に就任しました。
- 2002年(平成14年) 福井大学工学部および教育学部と統合し、福井大学医学部となりました。
講座制への移行に伴い、教室名は「器官制御医学講座 麻酔・蘇生学領域」と変更されました。 - 2006年(平成18年) 重見研司が三代目教授に就任しました。
- 2025年(令和6年1月) 松木悠佳が四代目教授に就任し、現在に至っております。






