福井大学医学部

外科学(2)

研究内容紹介

主要研究テーマ

[心臓血管外科]イヌ肺塞栓モデルを用いた、肺塞栓症治療新規デバイスの開発

急性肺血栓塞栓症(PET)はいわゆるエコノミークラス症候群として広く一般に知られる深部静脈血栓症に続発する致死的な症候である。病院内においても高齢者の外科手術後などに発症し、突然死の原因となる重篤な合併症であり、その予防措置は外科周術期に必須の項目となっている。
一方その治療において、軽症例では抗凝固療法による血栓溶解が有効であるが、ショックを伴う重症例では循環虚脱と急性右心不全、呼吸不全により院内発症でも救命できない症例も多い。この様な場合、経皮的補助人工心肺措置(PCPS)の導入に加え、経静脈カテーテルによる血栓吸引、外科的血栓摘出術などが試みられるが、前者ではカテーテルサイズが細く、吸引される血栓量が少なく、効果は限定的である。また、後者ではPCPS導入のためヘパリン化された状態での外科手術を余儀なくされ、出血傾向(肺出血を含む)が大きな問題となる。そのため、カテーテル治療と直達的外科手術の利点を併せ持つ、新しい低侵襲治療システムの開発が求められる。
従来のカテーテルによる血栓吸引は大腿静脈または頚静脈経由でカテーテルを肺動脈まで到達させていたが、主肺動脈から外科的に直接シースを挿入し、特殊形態(例:先端がラッパ状に広がる など)の広径カテーテル(20Fr.-24Fr)を導入することによって肺動脈分岐部にかかった血栓を効率よく吸引、摘出できるのではないかと考える。血栓吸引のために最適なカテーテルの形状、材質、サイズ等を明らかにし、さらに、効果的な吸引圧の設定や吸引した血液をフィルターを通して静脈系に還流させる簡便なシステムの開発を行うことによって、PTEに対する体系的な新しい手術システムの開発につなげていく。さらに将来的には、本研究をもとに医工連携、産学連携による製品開発、臨床応用につなげていけないか、検討する。

[呼吸器外科]非小細胞肺癌の抗がん剤感受性の研究

非小細胞肺癌の化学療法において、肺癌の抗癌剤抵抗性に着目し、5-FUとPemetrexedの作用機序とこれに関わると考えられる葉酸代謝、およびその酵素(TS,DPD,OPRT,DHFR,およびGARFT)の発現量の測定と、5-FUとPemetrexedの薬剤感受性試験を行っている。これら因子の発現量と薬剤感受性試験結果や患者背景との関連性を調査、検討することを目的として行っている。これにより、今後の新たな化学療法や患者個々に合わせたテイラーメイド治療の発展、および肺癌の予後改善につながることが期待される。

[呼吸器外科]胸腺腫の温熱療法の効果の研究

胸腺腫は低悪性度で緩徐に育つ腫瘍である。外科的切除が基本であるが、時に進行例では胸膜播種を来たし治療に難渋することがある。このような症例に対して、当科では局所的切除術に加えて、臨床試験で温熱灌流化学療法を加えて予後改善に寄与しないか検討中である。
一般的に、播種性小結節(左図)の肉眼の完全切除を受けた患者には、残存腫瘍のある患者より予後が良好と言われている。しかしながら、完全切除によるIVA期の症例においては、補助化学療法、補助放射線療法の有効性は証明されていない。一方、Heat shock protein 90(HSP90)は細胞内分子シャペロンの1つで、蛋白の適切な折りたたみや輸送などに関与し、癌細胞の増殖や生存の促進に重要な役割を果たすことが知られている。そのHeat shock protein 90 inhibitorは、分子標的薬としての治療薬として、非小細胞肺癌をはじめ、乳癌、前立腺癌、膵癌、結腸直腸癌、胃癌、小細胞肺癌などの幅広い癌腫に対し、臨床試験が進められている。ヒト胸腺腫組織を使って、温熱療法において抗がん剤にさらにHeat shock protein 90 inhibitorを加えた場合の相乗効果の有無を検討している。

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