科長 濵野 忠則 副科長 榎本 崇一
医局長 内藤 達志 外来医長 遠藤 芳徳 病棟医長 榎本 崇一
脳梗塞、頭痛、認知症、てんかん、髄膜炎などの神経系のcommon diseaseをはじめ、パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症、重症筋無力症、多発性硬化症、筋ジストロフィーなどの神経・筋疾患の難病まで、幅広く診療を行っています。また、他の医療機関で診断や治療に難渋する神経・筋疾患、意識障害、脳炎、痙攣重積状態を受け入れ、的確な診断と治療を提供するという高次医療機関としての使命を果たす努力をしています。脳梗塞(脳卒中)については一次脳卒中センター(PSC)コア施設として、脳神経外科と協働して24時間365日患者を受け入れ、速やかな診断・治療(rt-PA静注療法、機械的血栓回収療法)を実施できる体制を整えて、患者の転帰改善に向けて努力しています。認知症に対しては、抗アミロイドβ抗体薬が登場し、神経心理検査や脳 MRI、アミロイド PET 検査などで適応を検討し、最適使用推進ガイドラインに則って投与を行っています。また、精神科医や認知症看護認定看護師、PSWらと認知症ケアチームを組織し、ケアカンファレンスや院内デイサービスを提供し、認知症患者の入院生活をサポートしています。パーキンソン病に対しては薬物治療に加えて、脳神経外科と協力し、デバイス治療を提供しています。顔面けいれんなどに対して、ボトックス治療を提供しています。また、近年、多くの遺伝子検査が保険収載されたことで遺伝性の神経難病も診断できるようになり、遺伝診療部と協働して、遺伝カウンセリングを提供しています。
2023年度神経内科診療について
病床数はHCUの開設に伴い2023年2月より定数19床となり、2023年度の入院患者数は303人でした。最善の診断・治療の提供と並行して、専攻医・研修医・医学生への指導に日々取り組んでおります。
入院診療につきましては、急性期脳梗塞を中心とした脳血管障害が50.5%を占めます。当院は一次脳卒中センター(PSC)コア施設として、嶺北全域から患者さんを受け入れ、速やかに診断・治療(rt-PA療法、機械的血栓回収療法)を実施できる体制を整えております。次いで認知症やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患が22.7%を占めています。社会の高齢化に伴い、これらの疾患は今後も増加していくと予想されています。病診連携、多職種連携をより密にし、患者・家族への支援体制の強化をさらに進めたいと考えております。
外来診療につきましては、2023年度は濱野、山村、井川、榎本、遠藤、北﨑、佐々木が担当しました。救急対応にも力を入れ、神経救急疾患の他、内科全般を視野に入れた診療を心がけております。物忘れ外来では、事前に臨床心理士による認知機能検査を行い、スムーズな診断・治療につなげております。頭痛外来では頭痛専門医が難治性片頭痛などの診療にあたっております。当院は脳機能画像検査が充実しており、より確度の高い診断が可能となっております。2023年度の検査件数は、頸部血管超音波検査201件、下肢静脈超音波検査144件、経食道的心エコー検査4件、脳波検査116件、筋電図・神経伝導検査など205件でした。地域の医療機関の先生方のおかげで、例年並みの紹介患者数を維持することができました。
引き続き、診断・治療に難渋する症例を積極的にお引き受けし、高次医療機関としての使命を果たしながら、治療成績の向上に努めていきたいと考えております。