福井大学医学部

脳神経外科学

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第10回福井脳神経外科手術セミナー

 2月23日(日)に福井大学メディカルシミュレーションセンター「トレーニングルーム」、臨床教育研修センター「白翁会ホール」にて、第10回福井脳神経外科手術セミナーを開催しました。

 ハンズオンとしては、脳モデルを用いた深部血管吻合実習を行いました。初期研修医1年目の先生や医学科5年生の学生さんにも声を掛けたところ、脳外科やマイクロサージャリーに興味のある5名の皆さんが参加してくれました。

 手術症例検討会では、林病院・佐久間敬宏先生の演題「小脳出血の1例」で体位や開頭について、福井大学・磯﨑 誠先生の演題「椎骨脳底動脈閉塞症の1例」でステント治療や抗血小板療法ついて議論しました。

 メインの特別講演には、産業医科大学脳神経外科教授・山本淳考先生をお招きし、「脳腫瘍の外科基本手技 ~これから開頭術を始める若手医師のために~」の演題名でご講演いただきました。山本教授は、教授と言えども最初から経験豊富なわけではなく、シミュレーションやトレーニングなど準備が大切であること、手術ビデオやイラスト描画で経験症例から多くを得る努力が必要であることなどを話されました。今後開頭術の機会は益々減るだろうが、若いうちにすべきことはたくさんあり、必ずしも海外やハイボリュームセンターに行くこととは限らないと、地域医療を担う地方大学にとってとても示唆に富むありがたいご講演でした。

 山本教授は愛知県のご出身で、浜松医大在任中は悪性脳腫瘍の研究をされ、西澤先生が産業医大の教授に就任された1年後にご自身も産業医大に移られたそうです。その後もトロント大学 James T. Rutka教授の脳腫瘍研究センターにご留学され、産業医大に脳腫瘍の研究ができる環境を整えられたそうです。ご提示いただいた手術ビデオでは硬膜外前床突起削除 (いわゆるDolenc approach) が多く見られ、臨床面では産業医大の伝統を継承されていると感じました。

 セミナー終了後、山本教授とは福井の魚介と地酒で、若手脳外科医の育成法や、地方大学病院のあり方などについて話し合いました。また、若手と語る二次会にもご参加いただきました。このたびは北九州から遥々福井までお越し下さり、誠にありがとうございました。これを機に、今後とも福井大学脳神経外科を宜しくお願い申し上げます。

 小寺俊昭