福井大学医学部

脳神経外科学

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第6回脳梗塞学術講演会

毎年恒例となっております脳梗塞学術懇話会が7月25日ホテルフジタ福井で開催され、一般演題として福井県立病院脳神経外科部長 木多眞也先生より「福井県における脳梗塞急性期抗血栓療法の現状」として1706名のアンケート結果が報告され、福井県ではアテローマ血栓性脳梗塞(N=584)に対しては初日からクロピドグレルの内服とアルガトロバン+エダダボン点滴を7日間行う治療法が最も一般的(56%)で、ラクナ梗塞(N=444)に対しては初日からクロピドグレル内服とオザグレル+エダラボン点滴を7日間行う治療法が最も一般的であることが示されました。またBADに対しては診断できた段階でオザグレルからアルガトロバンに変更すること、Microbleedsに対してはラクナに多く、BP130/80以下にコントロールすべき事や、数個以上あればシロスタゾールを用い、数十個以上ではEPAやケタスなどより抗血小板作用の弱い薬に変更するなどの意見が出ました。引き続き行われた特別講演では東京都済生会中央病院神経内科部長脳卒中センター長 星野晴彦先生より「脳卒中再発予防における抗血小板療法〜急性期から慢性期まで」の演題で、多数の大規模臨床試験のエッセンスを説明くださりました。脳梗塞、脳内出血、心筋梗塞の年間発生率は、コントロールは4.53%, 0.14%, 1.24%がアスピリンでは3.58%, 0.32%, 0.7%とアスピリンは脳梗塞を22%減らすが、出血を1.9倍に増やし、心筋梗塞を1/3にへらすことが分かりました。またシロスタゾールはプラセボの脳梗塞、ラクナ梗塞、脳内出血の年間発生率が3.71%, 6.37%, 1.9%だったところを2.7%, 2.97%, 0.5%と特にラクナ梗塞と脳内出血を著明に低下させることが分かりました。併用療法に関してはプラピックスとアスピリンの併用は二次予防に関しては十分な血圧管理をしないとあまり差がないとのことでした。ただし急性期に関しては併用療法はアテローマでは特に有用で、ラクナ梗塞でもBADが隠れていることを考えると、今後積極的に用いられていくと述べられました。