福井大学医学部

脳神経外科学

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Fukui Stroke Core Member Meeting 2015

015/3/12ホテルフジタにおいて脳卒中コアメンバーミーティングが行われました。

特別公演として日本医科大学神経内科脳血管内科 木村一美教授に「心房細動と脳梗塞〜NOACは脳出血を激減させたか」という演題で自験データと文献データを示しながら詳細なレクチャーをしてくださいました。続いてパネルディスカションとして福井大学地域医療連携講座講師 山村修先生、福井県立病院脳神経外科 藤沢先生、福井赤十字病院脳神経外科 多喜先生にミニレクチャーをお願いしました。

内容は以下の通りです。

心房細動はPafを含めると人口の2-3%が有しており脳梗塞の1/4の原因です。心房細動を合併した脳梗塞は合併していない脳梗塞よりNIHSSは有意に重症で死亡率が高く8人に一人は亡くなります。心房細動を有している患者さんを5年間追跡するとなんと4人に一人がお亡くなりになり、死亡原因は脳梗塞だけではなく心不全、悪性腫瘍です。心房細動の患者さんは脳梗塞予防だけでなく、心不全の予防も必要です。

tPAを行った患者さんでも5年後自立した生活している患者さんは20%ほどで6%は死亡されています。ワーファリンは心房細動による脳梗塞を70%抑制しますが現実は出血合併症が怖くunde ruse, under doseになっています。NOACはワーワリンと同等以上に脳梗塞を抑制し有意に脳出血を抑えますが、二次予防に関してはワーファリンと有意差はありません。急性期心原性脳梗塞の治療においてヘパリンブリッジは必要かについては、大きな梗塞を生じ生命が危険な状態でなければ、急性期から胃管を通してNOACを投与する方がベターとのコンセンサスが得られました。NOACによる脳出血については、木村先生の論文で130例の解析で、ダビガトランとリバロキサバンを比較した場合、ダビガトランには慢性硬膜下血 腫が多く、リバロキサバンは脳内出血が多い。リバロキサバンに血腫増大例、死亡例が多く、ダビガトランには死亡例が認められなかったとのこです。出血が危惧される場合はダビガトランの方が良さそうでした。。NOACによる脳梗塞再発については各病院ともNOACで再発した経年があまりなく、もし生じた場合NOACの中で他の薬剤に変更するのがベターではないかという結論になりました。

熱心にご議論いただいた福井の各施設の先生方、ご講演賜りました木村教授に感謝申し上げます(菊田)