福井大学医学部

脳神経外科学

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第89回日本脳神経外科学会中部支部学術集会

2015年9月12日土曜日名古屋大学病院に第89回日本脳神経外科学会中部支部学術集会が開催され、教室からは新人の川尻智士先生が「SEGAに合併した正常圧水頭症の1例」、荒井大志先生が「Temporal AVMの2例」を報告しました。

学会で目立った報告は以下のとおりです。

①2-3mmの小さな動脈瘤でもAcomやPcomで破裂した例が2施設より報告されました。大きさ4mm以上、高血圧や多発嚢胞腎の合併、50歳以下、多発、増大傾向などが危険因子と言われていますが、小さいからまず破裂しない とは言えません。

②CAS後ステント内流速が200cm/sec以下に下がらない例で血栓性閉塞を認め、石灰化の強い例などではCEAが勧められるとのことでした。

③神経障害性疼痛に対するSCS(脊髄刺激療法)は特に脊髄根性痛など末梢神経痛に有用、中枢性は5割しか効果がない

④脳波異常が優位半休に優位に検出される内側側頭葉てんかんでは、手術適応なしと判断されがちだが、もし非優位側海馬にのみ硬化がある例は、その非優位半球の海馬を切除すれば治る

⑤若年者の閉塞性水頭症でシャント再建を繰り返す例ではETVをして脳室ドレナージを20cm高で入れておくと、術後10日目ごろより急に流出が減り、髄液循環がシャント依存型からETV依存型に変わり、シャントを抜去できる。

⑥癌性髄膜炎にともなう水頭症では腹膜播種を危惧して脳室ドレナージで粘るケースが多いが、むしろ早期にシャント術を行ったほうが患者のADLが上がり、長期生存できる例も出てきている。腹膜播種より原発巣のコントロールが生命予後を規定する。

一日拝聴していますと、たくさんのことが勉強できました(菊田健一郎)