第25回日本脳神経外科漢方医学会
(11月5日土曜日開催)
我々は、茵陳五苓散ならびに五苓散慢性硬膜下血腫の術後再発抑制効果について後方視的に検討した結果を発表しました。他施設からも、同様に利水剤の慢性硬膜下血腫の術後再発抑制効果、手術に至らない血腫量の慢性硬膜下血腫に対する保存的加療での効果についての症例報告や観察研究の結果報告が多数発表されました。多くの参加者の興味は、どのような症例に五苓散を用い、どのような症例に柴胡が入った柴苓湯を用いるのがよいか、ということでした。今後利水剤の効果を証明していくためにどのような研究を計画すべきかということもパネルディスカッションで討論されました。
ただ、もともと漢方にない「慢性硬膜下血腫」という疾患を、漢方的にどのような病態に位置付けるかということをよくよく考えなければなりません。短絡的に慢性硬膜下血腫→利水剤という考え方のみでは、治るものも治りません。慢性硬膜下血腫を治すというよりも、慢性硬膜下血腫を生ずるに至った患者さんの証(これは単一ではない)に対して漢方的に介入する、という考え方をしたほうがよいように思われました。より勉強が必要だと実感しました。
常俊 顕三
≪ 第13回脳神経外科手術夜話 │ 2016年11月8日 │ 第23回日本神経内視鏡学会 ≫