第4回福井脳神経外科手術セミナー
2月25日(土)に福井メディカルシミュレーションセンターおよび臨床教育センター「白翁会ホール」にて、第4回福井脳神経外科手術セミナーを開催しました。今回は4回目にして初めて、「脳血管内治療」をテーマとして取り上げました。
第1部は、シミュレーターや血管モデルを用いて「血管内治療実習」を行いました。若手からベテランまで12名の脳外科医と研修医が参加し、動脈瘤コイル塞栓術、血栓回収術、頚動脈ステント留置術などについて実習しました。この日は放射線技師の方や看護師の皆さんにもお集まりいただき、実際に機器を手に取って血管内治療を体験していただきました。
第2部の「手術症例検討会」は、市立敦賀病院脳神経外科部長・新井良和先生座長のもと、公立小浜病院脳神経外科・木戸口正宗先生から「椎骨脳底動脈急性閉塞の1例」について、当科・山田真輔先生から「脳室内出血にて発症したoccipital sinus dural AVFの1例」について発表してもらいました。いずれも希少で教育的な症例で、会場から様々な意見が聞かれ、特別講師の根本教授からもアドバイスをいただきました。
第3部の「特別講演」には東京医科歯科大学血管内治療科教授・根本繁先生をお招きし、「血管内治療 -脳神経外科医はどのようにかかわればよいか-」という演題でお話しいただきました。根本先生は、留学先のWestern Ontario大学でDrake教授から後方循環の動脈瘤クリッピング術を学ぶ一方、同僚であったVinuela先生(のちのUCLA神経放射線科教授)とともに当時まだ確立されていなかった脳血管内治療を始め、その発展に貢献されました。国内では虎の門病院、自治医科大学、東京医科歯科大学に血管内治療科を新設し、それぞれの初代部長・教授として血管内治療の普及に努められました。現在も東京医科歯科大学の血管内治療専用研究室で、新たな治療法の開発や脳血管内治療医の教育に積極的に取り組んでおられます。まさに脳血管内治療の歴史を歩んで来られた先生で、大変興味深い話ばかりでした。
北井隆平