2018年5月より、福井大学精神医学教室の教授を勤めております小坂浩隆です。1981年に初代教授の伊崎公徳教授、1999年に着任された二代目の和田有司教授に次いで三代目となります。伊崎先生を含めてわずか6名でスタートした当講座も、現在までに在籍した精神科医は100余名となりました。多くの先生が福井県内のみならず全国各地でご活躍されています。
地域に根付いた医療
福井大学精神医学教室は、福井県内の唯一の大学医学部講座であり、県下の地域精神医療の大部分は同門の先生方によって担われています。県の中核的基幹病院である福井県立病院こころの医療センターは、村田哲人センター長はじめとして全常勤精神科医が当講座の出身者であります。その他関連病院の理事長、院長先生方も多くが当講座の出身者です。こうした先生方と常に密なコミュニケーションを取り合い連携することにより、地域精神医療を充実したものにすることができているのです。診療のみならず、教育や研究面でも協力することで、福井県内の精神医療を発展させて行こうと日々努力しております。
臨床活動
診療では、修正型電気けいれん療法、治療抵抗性統合失調症のクロザリル治療、終夜睡眠ポリグラフ検査など、最新の治療や特殊な検査を実施しております。PETやMRIなどの先進的医療機器も積極的に取り入れております。まだまだわからないことも多く幅の広い精神医学のさまざまな疾患に関してこうした検査を行うことによってより正確な病状・病態を把握し、より適した治療を行うことがでるのです。こうして県内外の医療機関から受け入れた多くの方々の社会復帰に貢献しています。
また、統合失調症、気分障害、不安障害などの一般的な精神科診療に加えて、睡眠障害、てんかん、近年では、児童青年期の精神医療にも重点を置いています。本学医学部附属病院の他の診療科と連携した活動に力を注いでいることも大きな特色のひとつです。不登校、発達障害、摂食障害、被虐待児者のトラウマなどの治療は「子どものこころ診療部」と協力しております。認知症ケア、リエゾン、緩和ケアなども他診療科・多職種と連携して活発に活動しております。 →診療内容紹介
研究活動
研究活動研究面では、精神神経疾患のニューロイメージングを本学高エネルギー医学研究センターとともに実施し、数多くの知見を世界に発信しています。近年では、子どものこころの発達研究センターとともに自閉スペクトラム症・注意欠如多動症・被虐待児の脳構造や脳機能など多角的なアプローチにより神経基盤の解明を行ってきているほか、モデルラットにおける中枢神経系の神経可塑性および酸化ストレス定量評価にも取り組んでいます。基礎研究から臨床試験・医師主導治験も含めた臨床研究まで幅広く展開しています。 →最近の研究業績
教育活動
若手精神科医の育成に力を入れているだけでなく、精神医学がわかる一般診療医を育てることも非常に大切だという考えのもと、卒前教育はもちろんのこと卒後教育にも力を入れています。教えるということは理解を深め視野を広げるという大きなメリットが教える側にもあるので講座全体で研修指導にあたっています。日本精神神経学会の精神科領域専門医研修プログラムは、地域精神医療、精神救急、身体合併、自殺対策など幅広い研修が可能となる基幹施設として機能を果たしています。また、本学「子どものこころの発達研究センター児童青年期こころの専門医育成部門」と連携することにより、児童青年精神医学領域の高度な研修を同時に受けられることもこの研究室の大きな特色です。一般精神医療と高度な児童青年期医療を同時に学べる数少ない医療機関として、優秀な医学生や若手・ベテラン医の見学者やレジデントが県内外から数多く集まってきております。 →教育内容紹介
医局の特色
福井は、豊かな自然に恵まれています。大学のすぐ側には福井県立グリーンセンターがあり、季節折々の景色を楽しむことができます。外側に一面に広がる田んぼからは雉の鳴き声が聞こえてきます。その一方で文化的な豊かさもあります。永平寺を初めとする歴史的な文化財があり、恐竜博物館などの新しい文化発信地もあります。この両方を併せ持った豊かな地でこの福井大学は発展してきたのです。わたし達の研究室も同様に、仕事だけではなく、プライベートも大切にすることが今後の医療の発展につながると考えています。医局には、自然と多彩な趣味を持つ人が集まって来ました。スポーツや音楽などを本格的に取り組んでいる人もいます。子育て中の女医さんもいます。臨床や研究をさらに発展させるためには、いろいろな個性や家庭、様々なバックグラウンドをお互いに尊重することが必要であると考えています。令和元年度には新入局員が5名加入し、さらににぎやかになりました。時にはうるさいぐらいに和気あいあいとして活気に満ち溢れていますが、今以上に臨床・研究をさらに発展させるためには、新しい考え方と若い力を常に取り入れていきたいと思っております。研修を希望される方、お気軽にご連絡ください。心よりお待ち申し上げております。研修の具体的な内容、研究・診療面についての詳細は、是非このホームページをご参考いただければ幸いです。 →スタッフ紹介